ビリー・ジョエルの初期、というか絶頂期に発表されたベスト・アルバムである。米国だけで2千万枚以上売り上げたらしい。
ビリー・ジョエルはわたしも中学生の頃から聴いていた。「ガラスのニューヨーク」あたりからリアル・タイムで聴いていた。
アルバムでは『ストレンジャー』(1977)、『ニューヨーク52番街』(1978)、『イノセント・マン』(1983)をとくによく聴いた。
だから好きな曲もたくさんあるのだが、しかしこのビリー・ジョエルというアーティストに対してはなぜかそれほど思い入れがない。
前回のスウェードの項ではコメントで、フェイクアニがスウェードのメンバーなどについて補足的に書いてくれた。あれはラクでいいですね。
今回のビリー・ジョエルも、わたしなんかよりずっとよく知っている人が多いに違いないし、身近な「友人」にもひとりいる。
今回はその「友人」のことを書こう。
彼とは当時よく通った飲み屋で知り合い、ブリティッシュ・ビート・バンドやNYパンクがお互い好きですぐに意気投合した。わたしはただ聴いているだけだったが、彼はギタリストなのでそういった音楽を日常的にバンドで演奏もしているのがまたわたしに尊敬の念を抱かせることになった。
なのにわたしは、持ち前のずうずうしさと寄生獣のような冷酷さで人の好い彼をひどく傷つけた記憶がある。もう20年も前の話だ。
ライヴ・イベント的なことをみんなでやりたいねということを彼が言っていて、わたしも誘ってくれたのだが、あろうことか当時のクソ生意気なわたしは、べつにそんなのやりたくない、ぐらいのことを言ったのである。
当時、本格的にバンド活動をしていてギターの腕前もプロ級の彼が、自作のくだらない歌を下手糞なギターを弾きながら歌っていただけのわたしに対して誘っているにもかかわらず、である。
それはもう、シンプルに言えば、「気が合うね、友達になろう」と言ってきた先輩に対して、「いやべつにいいわ」と答えたようなものだった。
わたしにはそういうところがあった。
うまくいけば生涯の友となるかもしれなかったひとつ年上の友人を、空気の読めない、人間の心を理解しない寄生獣は一瞬で斬り刻み、失ってしまった気がした。
わたしはそれ以後もずっとそのことを後悔し続けている。
わたしはいつも冷静で、世の中を醒めた目で見ていて、あまり人と交わらず、なにか人とは違う考え方で生きている、そんなふうに見られているようだった。
そうではない。
若い頃のわたしはただ、人と話すのが極端にヘタなために無口になりがちなのであり、世の中で一生懸命に生きている人々に対してなぜか劣等感を抱いていたために距離を置いていただけだし、他人からどう思われるかばかりを気にして実際以上に背伸びをし、非常識な自分を肯定したいがために世の中の常識を否定していただけのことだった。
いまのわたしは違う。もう少し成長したつもりだ。40を過ぎてやっと常識を身につけつつある。
まあ、遅きに失している感は否めないけれど。
実は昨夜もその彼と飲んでいたのだ。
昨日はライヴ・イベントの打ち上げをやっていて、出演バンドのメンバーたちが集まって貸切で飲んでいたのだった。
わたしは出演者ではなくただの観客だけれど、わたしはいつものずうずうしさでふつうに「おつかれっす」と入っていって一緒に飲んだのだった。
彼とはいつもはいろいろな音楽の話で盛り上がるのが常で、そんな話はこのブログでもたびたび書いてきたけど、昨夜は音楽とはいっさい関係ない、彼の意外なハンドメイドな趣味について聞き、その写真なども見せてもらった。
本人は「これ見せるとたいていの人はドン引きする」と言って笑うのだけど、いやいやわたしはますます彼のことが好きになった。
わたしは、男子たるものは、他人がドン引きするほどなにかにのめり込むパワーと想像力がなければ人間としてつまらないと思っている。
彼の趣味もわたしは素直に素晴らしいと感じた。
「バンドのメンバー以外でこれを見せたのはゴローちゃんが初めてだよ」と言われたのがまたわたしには嬉しかった。
あの出会った頃のわたしの無礼を水に流してくれたような気がして、彼の優しさに感謝した。
わたしはその趣味に無心で没頭している彼の姿を眺めながら酒を飲みたいなとさえ思った。
たとえ一言もしゃべらなくても、たぶん何時間でも飲んでいられる。
えーっと。
なんだこの回は。
コメント
忘れてましたFabulous 10 Songsデス
私もBilly Joelには思い入れがありますのでベスト10をと。
1.Stranger(The Stranger/1977)
2.Honesty (52nd Street/1978)
3.「素顔のままで」Just the Way You Are(The Stranger/1977)
4.Pressure (The Nylon Curtain/1982)
5.My Life(52nd Street/1978)
6.「さよならハリウッド」(ライヴ音源)(Songs in the Attic/1981)
7.New York State of Mind(Turnstiles/1976)
8.Piano Man(Piano Man/1973)
9.Goodnight Saigon (The Nylon Curtain/1982)
10.「ガラスのニューヨーク」You May Be Right (Glass Houses/1980)
おまけの11.「アレンタウン」(The Nylon Curtain/1982)
同じ国の人じゃないかと思う程、共感しやすい詩で大好きでしたが、私の性格が歪み始めた年頃からは、距離を置くようになってしまいました。でもやっぱり珠玉の名曲の多いコト!。
でもしかし、久しぶりに聴く「ナイロンカーテン」の独特な、重く..蟹工船共3的な雰囲気は、他に無くたまらんですね~。
ありがとう!
うう~、うれしいことを言ってくれるではありませんか!
大人になってからこんなに純粋な人達と出会えて、本当に良かったと思っています。
で、私はまだまだ長生きして寄生します。笑
ソウルメイトはむにだ
ソウルメイツに入れて頂いて嬉しいです。
やっぱ(?)長生きすることにします。
いかすねえ
「誰よりも美しく気高い世捨て人ってな感じ」って。
カッコええ!!
ではそういうことにしときましょう。
楽しい思い出の中で歌ってたビリー・ジョエル
予想外のビリー・ジョエル!?(笑)
その当時ビリー・ジョエルはお洒落な大人のロックの代表でクラスの皆が背伸びして聴いてたもんだ(ボズ・スキャッグスとかな…笑)そしてガキの頃の楽しかった思い出はいつも彼の歌声と一緒だった。彼と同様に夜のニューヨークを描き出したスプリングスティーンには何故かロクな思い出が残ってないんだけど…(´;ω;`)
友達の部屋に遊びに行けば「おっ、ビリーじゃん!」みたいな(笑)女友達が遊びに来たときにはやっぱり彼のカセットテープをかけたな(恥)土曜日の夜に先輩のコロG(コロナ2000GT 規制前オリジナル18R搭載)で蒲郡に遊びに行ったときにはカーステから『ガラスのニューヨーク』(笑)蒲郡に着いたら地元の族に囲まれて必死になって逃げてきたのが今となっては楽しい思い出だ(笑)奴らにとって俺達はまさにストレンジャー(よそ者)だったに違いない(爆)
ビリーについてあれこれ書こうかなと思ったけどまあいいや…(笑)
でもタキシード着てクルクルパーマでピアノを弾いてたビリーは凄く魅力的だったな。
さてと…ゴローちゃんからの恋文の返事を書かなくちゃな…(笑)
そんな昔の話なんてとっくに忘れたわ(爆笑)
初めてゴローちゃんに会ったのは夢採取だったっけかな?
その当時のあなたは誰よりも美しく気高い世捨て人ってな感じで、すっかり浮世に浸かってるオイラにとっては…羨ましかったのかな…? とにかくゴローちゃんと今自分が聴いてる音楽について話せるのが楽しくしょうがなかった(笑)
こんなに話の分かる人間なんてこの広い地球上でも数少ないぜ(爆)ソウルメイトってとこだろうか?(笑)
ゴローちゃん、イケハタアニィ、リョウくん、ファニーフェイス、ナガイ氏そしてヤッサン…皆が独自の解釈でええ歳こいてロックしてる(笑) 長生きしろよ、オイラのソウルメイト達よ!(`・ω・´)