【パブ・ロックの快楽】
Ian Dury – Wake Up And Make Love With Me
Ian Dury – Wake Up And Make Love With Me
パンク旋風巻き起こる1977年の英国で、パブ・ロック出身の35歳の野獣のような見た目の男がリリースした、不気味なほどクールでファンキーなデビュー・アルバムが『ニュー・ブーツ&パンティーズ!』だった。この曲は「起きろ、おれとヤろうぜ」と歌うオープニング・トラックだ。
このファンキーでユーモラスなアルバムは同時期のパンク・アルバムよりも批評家受けが良く、NMEのアルバム・オブ・ザ・イヤーで2位、セールス的にも全英5位とリスナーにも支持され、イアン・デューリーの代表作として知られている。
わたしはそこまで評価が高いことに驚きではあるが、ユニークな韻を踏む歌詞も人気の要素らしく、そのあたりはわたしにはやっぱりよくわからないのである。
バック・バンドのブロックヘッズの独特なグルーヴがクールで良い。そしてイアン・デューリーの、今からウサちゃんを味わいつくそうとするよだれを垂らした野獣が、妙に優しい態度で食前の時間を楽しむみたいな、目の据わったようなおぞましいヴォーカルに惹きつけられる。
ちなみに、ジャケットに写っている少年はイアン・デューリーの実の息子である。