ザ・バンド/チェスト・フィーヴァー(1968)

Music from.. -Annivers- [12 inch Analog]

【60年代ロックの快楽】
The Band – Chest Fever

ザ・バンドの1stアルバム『ミュージック・フロム・ビッグ・ピンク(Music from Big Pink)』収録曲。リード・ヴォーカルはキーボードのリチャード・マニュエルだ。

ビッグ・ピンクとは、ニューヨークのウッドストックにある、壁がピンク色に塗られた木造の住居のことで、ボブ・ディランとザ・バンドが合宿のようにして曲作りやリハを行った。今でもそのまま残っているらしい。

この曲もそのビッグ・ピンクでのジャムセッションから生まれた曲だ。

ロビー・ロバートソンによればタイトルにも特に意味はなく、「あの曲に歌詞があったかどうかも覚えていない。歌詞もオケもアレンジもなにひとつとして意味はないんだ」と語った、超テキトーな曲らしい。たしかに練られた感じはまったくしないけど、そのラフな感じがまたカッコいい。

ザ・バンドの1stアルバムは名曲も多く、彼らの代表作とされているが、後の完成度の高いアルバムに比べると、「未完成度」が高くて、ドロッとした感じの、雑然とした臨場感があるのが魅力だ。この曲は特にそれを象徴するような、なにがどうなのかはわからないけれど、新鮮なままの輝きみたいなものを感じる。

ドラムのリヴォン・ヘルムはその自伝で、1970年頃のニューヨーク州ワトキンズグレンで開催されたあるフェスでの思い出を書き留めている。土砂降りの夕立で一時中断した後でのことだ。

僕たちはステージに戻ってガース(オルガン奏者)に歩調を合わせ、「チェスト・フィーヴァー」に突入した。
ドラムの音を聞いたとき、50万人が踊り始めた。すごい光景だった!
ぼくが少しだけテンポを変えたときには、100万のひざがぐらつくのが見えた。それはいまでも僕の記憶に強く焼き付けられている。

Visited 14 times, 1 visit(s) today

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする