わたしにとって、スワンプ・ロックと言ったら、このレオン・ラッセルだ。
「スワンプ」とは、「沼」とか「湿地」という意味だ。
アメリカン・ルーツ・ミュージックの一大産地である米南部の土の匂いを感じさせるようなサザン・ロックの中でも、ルイジアナ州の湿地帯辺りの、土どころか沼の匂いを感じさせるぐらいドロドロで渋いやつがスワンプ・ロックということだろう。
たしかに、レオン・ラッセルの音楽は、渋くて、クセと粘り気が強くて、苦みと甘み、荒っぽさと繊細さを兼ね備えていて、奥深い味わいの、独特の音楽だ。
しかし彼のソングライティングは、その代表曲からもわかるように、都会的でポップなものも多い。
もともと彼は10代の頃から音楽活動をはじめ、21歳ですでにロサンゼルスでは有名な腕利きのスタジオミュージシャンだった。そんな仕事の現場から天才的な吸収力で最新の音楽を学び、独創的な音楽を創作する術を身につけたのだろう。
以下はわたしがお薦めする、最初に聴くべきレオン・ラッセルの至極の名曲5選です。
A Song for You
デビュー・アルバム『レオン・ラッセル』のオープニング・トラックで、彼にとって最初のシングルでもある、代表曲だ。
この曲はすでに、様々なジャンルの、200人を超えるアーティストたちがカバーしているそうだ。アメリカン・ポップスのスタンダードと言うべき、不滅の名曲。
Hummingbird
1stアルバム『レオン・ラッセル』収録の名曲。
ハミングバードとはあの花の蜜を吸う世界一小っちゃい鳥、ハチドリのことだけど、「一生あの娘しか愛さない」と言い切るほど惚れてしまった女性をこのハチドリに喩えて、「飛んで行かないでおくれ!」と絶叫するせつないラヴ・ソングである。
Tight Rope
全米11位のヒットとなった、レオン・ラッセルにとってチャート最高位、1番売れた曲だ。日本でも当時のオリコン洋楽チャートで1位になっている。ちょっと意外だが、かなりの人気だったのだろう。
彼の世捨て人のような見た目に比べて、その楽曲はずっとポップでキャッチーであり、わたしは彼のそういうギャップも好きだ。
This Masquerade
全米2位と売れまくった名盤3rdアルバム『カーニー(Carney)』収録曲で、ジャズ畑のジョージ・ベンソンがカバーして全米10位のヒットとなった。
でも日本ではカーペンターズによるカバーのほうが圧倒的に有名だ。カレン・カーペンターのシビれる低音がこの曲にぴったりだ。
Lady Blue
75年のアルバム『ウィル・オ・ザ・ウィスプ(Will O’ the Wisp)』からのシングルで、全米14位のヒットとなった。わたしはこの、深々とエコーの効いた声が響く、広がりのある空間の感じが好きだ。これはもちろん、夜に聴くべき音楽。
選んだ5曲がぶっ続けで聴けるプレイリストを作成しましたので、ご利用ください。
【プレイリスト】はじめてのレオン・ラッセル【必聴名曲5選】はこちら
入門用にレオン・ラッセルのアルバムを最初に聴くなら、『追憶の日々~ベスト・オブ・レオン・ラッセル(Retrospective)』がお薦め。最初に聴くべき代表曲はすべて網羅されています。
(by goro)