ザ・テンプテーションズ『シング・スモーキー』(1964)【最強ロック名盤500】#86

The Temptations Sing Smokey [Analog]

⭐️⭐️⭐️

【最強ロック名盤500】#86
The Temptations
“Sing Smokey” (1965)

モータウンの男性コーラスグループと言えば、スモーキー・ロビンソン&ザ・ミラクルズやザ・フォー・トップスなども有名だが、わたしが最も好きなのがザ・テンプテーションズである。ローリング・ストーンズがよく彼らの曲をカバーしていて、ご多分に洩れずわたしもそれで好きになった。

本作はテンプテーションズの2ndアルバムで、当時はモータウンの屋台骨を支えるソングライターとして、プロデューサーとして、そしてパフォーマーとして、八面六臂の大活躍をしていた天才スモーキー・ロビンソンがすべての楽曲を書き、プロデュースも担当している。

バックの演奏はもちろん、当時のモータウンのレコーディングのほとんどでバックバンドを務めた凄腕集団、ファンク・ブラザーズである。本作は、当時米国ポップス界の最先端を行っていた、モータウンの輝かしい才能の結集のような作品なのだ。カッコ内は全米シングルチャートの最高位だ。

【オリジナルLP収録曲】

SIDE A

1 ザ・ウェイ・ユー・ドゥ(全米11位)
2 ベイビー、ベイビー・アイ・ニード・ユー
3 マイ・ガール(全米1位、全英2位)
4 ホワット・ラヴ・ハズ・ジョインド・トゥゲザー
5 ユール・ルーズ・ア・プレシャス・ラヴ
6 イッツ・グロウイング(全米18位、全英45位)

SIDE B

1 フーズ・ラヴィン・ユー
2 ホワッツ・ソー・グッド・アバウト・グッドバイ
3 恋のパンチ
4 ウェイ・オーヴァー・ゼア
5 ユーヴ・リアリー・ガット・ア・ホールド・オン・ミー
6 ディペンド・オン・ミー

このアルバムの白眉はなんと言ってもA3「マイ・ガール」だろう。テンプテーションズの代表曲であり、スモーキー・ロビンソンの代表作であり、モータウンの金字塔である。

曲ももちろん素晴らしいが、アレンジがまた神がかっている。イントロのベースだけで毎回ワクワクするし、間奏でストリングスが入る瞬間なんて天国的な美しさだ。凄い曲としか言いようがない。

テンプスのブレイク作であるA1「ザ・ウェイ・ユー・ドゥ」やA6「イッツ・グロウイング」も好きだし、ビートルズのカバーでもよく知られるB5「ユーヴ・リアリー・ガット・ア・ホールド・オン・ミー」も収録されている。

コーラスグループというとロックバンドよりも保守的で退屈そうな先入観があるかもしれないが、決してそんなことはない。
60年代のテンプテーションズは、あのストーンズが憧れたほどの斬新な音楽でヒットを連発していたし、時代に合わせてサイケデリックやニュー・ソウル、ファンクといった要素を取り入れたり、コンセプトアルバムをつくったりと、つねに進化をやめなかった、実験精神旺盛なグループでもあった。

↓ テンプテーションズの代表曲「マイ・ガール」。

↓ テンプテーションズにとって初めてのヒット曲で、全米11位とブレイクした「ザ・ウェイ・ユー・ドゥ」。

(Goro)