レッド・ホット・チリ・ペッパーズ/スカー・ティッシュ(1999)

CALIFORNICATION [12 inch Analog]

【90年代ロックの快楽】
Red Hot Chili Peppers – Scar Tissue

レッチリのターニング・ポイントとなった7thアルバム『カリフォルニケイション(Californication)』からもう1曲。シングル・カットされて全米9位、全英15位のヒットとなり、グラミー賞も受賞した名曲だ。

Scar Tissueとは、薬物中毒者の体に出る瘢痕のことだそうで、アンソニーの自伝のタイトルにもなっている。
それはきっと彼の体に刻み込まれ、肉体的にも精神的にも完全に消えることのない烙印のようなものなのだろう。

わたしはこのPVが好きだ。レッチリの中ではいちばん好きかもしれない。

PVの4人はズダボロである。
なにをやらかしたのか、ボッコボコにされて、街を追い出されて、あてもなく、次の新天地を探している途中のようにも見える。

まるでこの『カリフォルニケイション』という新境地のアルバムに辿り着くまでのワン・シーンのようですらある。

マッチョでパワフルでワイルドなイメージの彼らが初めて、今までひた隠していた、弱さや素の顔を曝け出したかのような。

このアルバムは、歯もすべて失ったほどの重度のヘロイン中毒と鬱病から生還を果たした、ジョン・フルシアンテの復帰作でもあった。バンドは再び彼を迎えるにあたって、自然にマッチョの仮面を脱ぎ捨てたのかもしれない。

哀愁漂うヒリついたギターが本当に素晴らしい。