テレヴィジョン/シー・ノー・イーヴル(1977)

Marquee Moon [12 inch Analog]

【NYパンクの快楽】
Television – See No Evil

テレヴィジョンは1973年にニューヨークで結成された。
トム・ヴァーレインがリード・ヴォーカルとリード・ギター、ソングライターという三役をこなし、結成時のベーシストはリチャード・ヘルだった。

余談だが、リチャード・ヘルは1975年に脱退してジョニー・サンダースのハートブレイカーズに加入したが、そこもすぐに辞めて、自身のバンド、ヴォイドイズを旗揚げした。
あっ、さすらいのプロレスラーみたいなやつだなと思いながら書いたら、つい「旗揚げ」と書いてしまった。「結成」の間違いである。

この曲は衝撃の名盤1st『マーキー・ムーン(Marquee Moon)』のオープニング・トラックだ。このときはもうベーシストはフレッド・スミスである。ややこしいけど、元MC5でパティ・スミスの夫のフレッド・ソニック・スミスとは別人である。こっちのフレッド・スミスは元ブロンディだ。
ちなみに当時のトム・ヴァーレインは、パティ・スミスと恋愛関係にあった。ややこしいけど。いや、ややこしくはないか。

もうひとつ余談だが、パティ・スミスの1st『ホーセズ』とテレヴィジョンの1st『マーキー・ムーン』は、どちらもインパクトの強いジャケットだけれども、この両方の写真を撮ったのが、ロバート・メイプルソープという有名な写真家で、彼はパティ・スミスのルームメイトだった。恋人ではなく、あくまでルームメイトである。メイプルソープは同性愛者だったからだ。ややこしい、と言ったらちょっとアレだけれども。

テレヴィジョンは、そのあまりの突然変異的な音楽性のインパクトからパンク・バンドに数えられたが、いわゆるラモーンズやセックス・ピストルズのような疾走系のパンク・バンドではない。

どちらかと言うとパティ・スミスと似た傾向の、文学的でアート系のタイプと言える。ドアーズのようでもあるし、ヴェルヴェット・アンダーグラウンドのようでもある。
あの甲高い、ときどきひっくり返ったりするヴォーカルだけは全然違うけれど。

あれももしかしてパティ・スミスの歌い方を真似したのかなあ。

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