ジェリー・リー・ルイス/ホワッツ・メイド・ミルウォーキー・フェイマス(1968)

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【カントリーの快楽】
Jerry Lee Lewis – What’s Made Milwaukee Famous (Has Made a Loser Out of Me)

ジェリー・リー・ルイスは「火の玉ロック」など、1957年から58年にかけてヒット曲を連発したものの、前回も書いたように13歳の少女と結婚していることをマスコミに暴かれてバッシングを浴び、人気は急落した。彼が人気絶頂のロックンロール・スターだった時期はわずか1年程度だった。その後はレコードを出してもなかなかヒットには至らず、ドサ回りをしながら細々と活動した。

しかし1968年にジェリー・チェスナットによって書かれた純カントリー・ソング「アナザープレイス・アナザータイム」をシングルとしてリリースすると、これが米カントリー・チャートの4位まで上がるスマッシュ・ヒットとなった。

そしてその次のシングルとしてリリースしたのがこの曲で、米カントリー・チャートの2位まで上昇して前作を上回るヒットとなり、見事にカムバックを果たすことに成功した。以降彼はカントリー・シンガーとして1980年代までヒット・シングルを連発しながら活動していく。

ナッシュヴィルのソングライター、グレン・サットンによって書かれたこの曲のタイトルは「ミルウォーキーを有名にしたものは」という意味だけど、シュリッツ・ビールのことなんだそうだ。

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「もう時間も遅いし、彼女が待ってるから帰らなきゃいけない。でもついつい飲みすぎてしまうんだ。ミルウォーキーを有名にしたやつは、オレを阿呆にしてしまう」と嘆く歌だ。

初期の”パンピン・ピアノ”の激しいパフォーマンスの印象が強いので、ジェリー・リーと言えば破天荒なロックンローラーというイメージが強いが、キャリアとしては圧倒的にカントリーのほうが長く、ヒット曲も多いので、本当はカントリー・シンガーと呼ぶべきなのかもしれない。もともと彼は、幼少期からカントリー・ミュージックに深くのめり込んでいたという。

動画ではあのやんちゃだったジェリー・リーがきちんとスーツを着て真面目な顔でカントリーを歌うのが、更生して立派な社会人となった元ヤンみたいで面白い。途中、一瞬だけ「もっと弾きてぇ」みたいなポーズをチラッと見せるユーモアもかわいい。

この曲にはロッド・スチュワートのカバーもある。ロッドが歌ったらきっとこんな感じだろうなあ、という想像通りのバージョンだ。シンプルだけど、良いアレンジだ。

↓ ロッド・スチュワートによるカバー・バージョン。