【最新名盤】ボビー・ギレスピー&ジェニー・ベス『ユートピアン・アッシェズ』(2021)

ユートピアン・アッシェズ

【21世紀ロックの快楽】
Bobby Gillespie & Jehnny Beth – Chase It Down

みなさん、半月ほどの御無沙汰でした。いかがお過ごしでしょうか。

お気づきになった方もいらっしゃると思いますが、なんだかわからない突発的な「重大なエラー」によってこの半月間、ブログが仮死状態となっていました。かの有名な「死の真っ白画面」と呼ばれる重篤な状態でした。

こりゃ死んだ、とわたしは思いましたね。

13年書き続けてきて、記事がちょうど1500回を迎えたところで終わり、電脳の海の藻屑となって消えてしまった、と呆然自失、一時は完全に諦めました。

でも、わが実弟がホームページを作る資格みたいなのを持ってることを思い出して、相談してみると、毎日夜中まで、だらしない兄のために損得抜きで粉骨砕身、何度も大手術を繰り返し、ついに蘇生させてくれました。いやあ有り難い。やっぱり持つべきものは弟ですね。

しかしまだリハビリのような状態のため、まだいつどうなるかわかりませんが、今はただ正常に表示されているブログを見るだけで幸福な気持ちになります。またこれでわたしの平凡な日常が始まる感じです。やはりこの世に平凡な日常に勝るものはありませんね。

さて、久しぶりに書いたのでついつい長くなりましたが、そんなご無沙汰の間に見つけた最新の名盤をひとつ紹介しましょう。

7月1日にリリースされたボビー・ギレスピー&ジェニー・ベス『ユートピアン・アッシェズ(Utopian Ashes)』です。

ボビー・ギレスピーは皆さんご存知の、プライマル・スクリームのヴォーカリストですね。ジェニー・ベスという方はわたしは知りませんでしたが、2011年結成のポスト・パンク・バンド(今どき!?)、サヴェージのヴォーカリストの女性です。

2人は2015年にあの伝説的なNYパンクのスーサイド(とっくに死んでそうな名前なのに生きてた!)と共演したことがきっかけで知り合ったという。その後も何度かセッションする機会があり、今回のデュエット・アルバム制作につながったとのこと。

グラム・パーソンズとエミルー・ハリスの「Grievous Angel」などにインスピレーションを受けた、と語っているけれど、安易なカバー・アルバムではなく、全曲オリジナルで、離婚直前でお互い痛みを感じながらもなんとか別れを避けようと努力している夫婦というテーマが歌われている。

このアルバムはボビーが深く傾倒しているディープ・ソウルやクラシック・カントリーに影響を受けながらも、ちゃんと現代のリアリティを持った新鮮な響きの音楽が創造されている、素晴らしいアルバムだ。最新の電子機器に頼らなくても、流行りの音楽に寄せなくても、ただただ良い曲を書くことだけに注力すれば名盤は生まれるんだぜ、と証明して見せてくれたようなアルバムだ。

バック・バンドはベースのみサヴェージのベーシストで、後はプライマル・スクリームのメンバーだ。

それにしてもボビー。
見た目はまあそれなりにしょぼくれてきてるかもしれないけど、声はちっとも変わらないな。
そしていつも凄いインパクトの斬新な音楽を創り出してきた。彼の音楽に驚かされたのはもう何度目のことかわからないぐらいだ。
考えてみたら、最初にプライマル・スクリーム知った30年前から、ずっとそうだ。絶対早死にすると思ってたけど、長生きしてくれて嬉しいよ、ボビー。

この曲はアルバムのオープニングを飾る「チェイス・イット・ダウン(Chase It Down)」。いきなりもう「こりゃ名盤だな」ってピンとくるやつだったけど、実際これ以外の8曲もすべて素晴らしい曲ばかりだった。

この夏の夜のヘビロテになりそうだ。

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