はっぴいえんど/12月の雨の日(1970)

はっぴいえんど

【ニッポンの名曲】
作詞:松本隆 作曲:大滝詠一

1stアルバム『はっぴいえんど』に収録の「12月の雨の日」は、はっぴいえんどが最初に作った曲で、彼らのデビュー・シングルにもなった。ヴォーカルは作曲者でもある、大瀧詠一である。あの「君は天然色」の大瀧詠一である。と言っても若い子は知らないかな。て言うか、若い子は読んでないか、これを。

わたしが最初にはっぴいえんどを知ったのも、この曲だった。
吉田拓郎や高田渡、加川良、遠藤賢司なども収録されている『第3回全日本フォークジャンボリー’71』というライブ・アルバムのラストに収録されていて、それまでのちまちましたフォーク野郎たちとは明らかに違う圧倒的な音圧でロックをやっているのが強烈な印象だった。

作詞は、後に日本の歌謡界を代表する作詞家へと昇り詰める、ドラマーの松本隆である。

水の匂いが眩しい通りに
雨に憑かれた人が行きかう
雨上がりの街に風がふいにのぼる
流れる人波を僕は見てる
僕は見てる

当時のフォーク・シンガーたちの多くが自分の思いや主張を歌にしたのに対して、この「12月の雨の日」は、ただ「見ている」だけなのが、なんだかクールでカッコ良かったものだ。