カーズ/マイ・ベスト・フレンズ・ガール(1978)

The Cars: Deluxe Edition

【パワー・ポップの快楽】
The Cars – My Best Friend’s Girl

バッドフィンガー、ビッグ・スターという、70年代〈パワー・ポップ〉の代表格を紹介して来たけれど、そもそも彼らの時代には〈パワー・ポップ〉なんて言葉は無かったのだ。

〈パワー・ポップ〉という用語は、1970年代の後半、ロックであることは間違いないけれどもハード・ロックではないし、パンクほどトガってもいない。ニュー・ウェイヴというほど変わったものでもないし、ましてやブルースでもカントリーでもないという、ジャンル分けに困ったバンドを〈パワー・ポップ〉と呼んだのが始まりだったという。

チープ・トリックやナック、ブロンディ、そしてこのカーズなんかもそう呼ばれたらしい。そこから遡って、バッドフィンガーやビッグ・スターなどが、パワー・ポップの祖と呼ばれるようになったようだ。

もちろん、本人たちが好んでそう名乗っていたわけではないが、音楽マスコミやレコード会社にとっては肩書があったほうが売るのに都合がいいものらしい。あと、そういう肩書があると、時代を経ても名前が残りやすく、聴き継がれやすくなるということはあると思う。

カーズはボストン出身で、全員が車好きということでカーズというバンド名にしたのだそうだ。
この曲はカーズが1978年に発表した1stアルバム『錯乱のドライヴ(The Cars)』からのシングルで、全米35位、全英3位と、イギリスでのほうがヒットした曲だ。

そうだろうなあ。
なんとなく、アメリカより、イギリスっぽい感じはする。アメリカの土の匂いがまったくしないというか。

カーズのヴォーカリストであるリック・オケイセックが書いた(アルバムの全曲を書いている)、スタイリッシュでキレのいい、カーズだけにドライヴ感もあるカッコいい曲だ。これだけ聴いても凄い才能のソングライターであることがすぐにわかる。

ライヴでもレコードと同等のクオリティで再現していたと伝えられているほど、バンドの腕前もなかなかのものだったらしい。

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