【ディランのアルバム全部聴いてみた】『追憶のハイウェイ61』(1965)

追憶のハイウェイ61(紙ジャケット仕様)

【ディランのアルバム全部聴いてみた 6枚目】
“Highway 61 Revisited”

この世に怖いものなし、ついに天下獲ったぜ、の殿様みたいな顔をしとるな。
ディランのアルバムというのは概ね、ジャケのディランの表情でもその自信の程が窺えるものが多い。あまり自信無さげな作品はディランの写真すら使ってなくて、絵だけになってたりする。

前作の歴史的名盤からたった5か月後という間隔で発表された、これまた歴史的名盤。全米3位、全英4位と、前作を上回る大ヒットとなった。ディラン24歳、バンドという新たな武器を手にして、創作意欲が怒涛の勢いで溢れ出した頃だったのだろう。

アルバムはディランの代表曲であり、アメリカン・ロックの歴史における最も重要な1曲と言っても過言ではない「ライク・ア・ローリング・ストーン」で幕を開ける。

見学に来ていたアル・クーパーが飛び入りで参加して弾いたハモンド・オルガンは偶然の産物ながら、この曲を名曲にすることに決定的な役割を果たしている。この曲は全米2位と、ディランにとって最大のヒット曲となった。

他にも「やせっぽちのバラッド」「ビュイック6型の想い出」「クイーン・ジェーン」「親指トムのブルースのように」「追憶のハイウェイ61」「廃墟の街」などの佳曲がズラリと並ぶ、聴き応えのあるアルバムだ。

前作からさらに進化して、バンドアレンジも、ブリティッシュ・ビートの真似でもなく、シカゴ・ブルースの真似でもなく、独自のサウンドを模索している。
録音のせいもあるのだろうけど、ピアノにしてもハモンドオルガンにしてもその他の楽器にしても、キレイに耳当たりよく聴かせようとする気などまったくないような荒々しい音が、このアルバムに漲るエネルギーを感じさせる。

ソングライティングの進化も凄いが、しかしポップになりすぎず、甘くなりすぎず、晦渋なところは相変わらずだ。
だからこそ、それまでの「アメリカン・ポップス」とは違う、奥深いコクと、辛さや苦みもある大人の味わいの「アメリカン・ロック」が誕生したのだろう。

↓ 「ライク・ア・ローリング・ストーン(Like a Rolling Stone)」

↓ 「追憶のハイウェイ61(Highway 61 Revisited)」

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