その昔、数曲のヒット曲を知っていただけのわたしは、トッド・ラングレンをなんとなくイギリス人だと思い込んでいたが、あとでアメリカ人と知って驚いたものだ。
それぐらい彼の音楽はイギリスっぽい音、イギリスっぽいメロディに溢れている。ビートルズをはじめとしたブリティッシュ・ビートに強い影響を受けているのだろう。
彼は作詞・作曲・編曲・プロデュースはもちろんのこと、すべての楽器を自分で演奏し、音を加工し、ミキシングし、コンピューターを駆使してPVまで自作した。なんなら、ライナーまで書いたりもする。
そして、他のアーティストのプロデューサーとしも多くの名盤を世に送り出した。
ニューヨーク・ドールズの1stや、グランド・ファンクの『アメリカン・バンド』、ミート・ローフの『地獄のロックライダー』などはその代表的な一例だ。
愛するビートルズの「ストロベリーフィールズ・フォーエヴァー」や、愛するビーチ・ボーイズの「グッド・ヴァイブレーション」を細部まで完璧に再現するというカバー・バージョンを作ったり、全曲「ビートルズっぽい曲」だけで1枚アルバムを作るなど、その普通以上のDIY精神というか、気違いじみたオタク気質がわたしは好きだ。
わたしは基本的に(どんなジャンルであれ)オタク的な要素がある人間が好きで、それはその「熱量」によってこっちの心もポカポカしてくるからで、その意味でトッド・ラングレンの音楽に対する熱量は凄い。とても暖まる。
そしてオタクはだいたいにおいて「孤独」でもある。それもわたしがオタクに共感する点だ。トッド・ラングレンのレコードからも、彼の永遠の孤独を感じる。まるで宇宙の果てで美しく鳴り響くポップ・ソングだ。
以下はわたしがお薦めする、最初に聴くべきトッド・ラングレンの至極の名曲5選です。
We Gotta Get You a Woman
1stアルバム『ラント(Runt)』からのシングルで、全米20位と、トッド・ラングレンの最初のヒット曲となった。
ひどく落ち込んでいる友人を助けようと「君に女の子を紹介してあげよう。生きててよかったと君が思うような女の子を探してみる」と歌う、心温まる歌だ。
「ウィー・ガッタ・ゲット・ユー・ア・ウーマン」の過去記事はこちら
I Saw the Light
トッド・ラングレンのアルバムの中でも最も有名な、LP2枚組の名盤3rd『サムシング/エニシング?(Something/Anything?)』からのシングルで、全米16位のヒットとなった。
一度聴いたら忘れられないキャッチーなメロディが印象的な名曲だ。わたしはこの曲がいちばん好きだな。
Hello It’s Me
同じく3rd『サムシング/エニシング?』からのシングルで、全米5位と、トッドにとって最大のヒットとなった代表曲。少し影のあるエレガントなアレンジのバラード・ソングだ。
Can We Still Be Friends
1978年のアルバム『ミンク・ホロウの世捨て人(Hermit of Mink Hollow)』からのシングルで、全米29位。
ロバート・パーマーやロッド・スチュワート、マンディ・ムーアなどが後にカバーしている。
I Just Want to Touch You
ソロと並行して活動するユニット、ユートピア名義のアルバムで、全編「ビートルズっぽい曲」だけで埋め尽くされた『ミート・ザ・ユートピア(Deface The Music)』収録曲。
誰が聴いてもビートルズの曲みたいに聴こえるけど、決してパクりではない、トッドのビートルズ愛とオタク気質と天才ソングライターとしての才能が融合して爆発したオリジナル・ソングだ。PVももちろんビートルズ風。
入門用にトッド・ラングレンのアルバムを最初に聴くなら、『ヴェリー・べスト・オブ・トッド・ラングレン』がお薦め。最初に聴くべき代表曲はほぼ網羅されています。
選んだ5曲を続けて聴けるYouTubeプレイリストを作成しましたので、ご利用ください。
♪プレイリスト⇒はじめてのトッド・ラングレン【必聴名曲5選】はこちら
また、apple musicのプレイリストとしても作成済みです。
apple musicをご利用の方はこちらのリンクからプレイリストにジャンプできます。
はじめてのトッド・ラングレン【必聴名曲5選】5 TODD RUNDGREN Songs to Listen to First(goromusic.com)
ぜひお楽しみください。
(by goro)