【ディランのアルバム全部聴いてみた】『ディラン』(1973)

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【ディランのアルバム全部聴いてみた 15枚目】
Bob Dylan “Dylan”

1970年から3年間の隠遁時代、ディランはレコードを作らなかった挙句に、コロムビアとの契約更新を拒否し、新興レーベルのアサイラムへ移籍する。

怒りの収まらないコロムビアが「報復」として、ディラン本人の許可なく、レコード化されていなかった未発表曲をかき集めて発売したのがこのアルバムだった。

『新しい夜明け』と『セルフ・ポートレイト』のアウトテイクで、ディランの書いた曲は1曲もなく、トラディショナルとカバー・ソングのみの内容だ。

『セルフ・ポートレイト』の無理やりな続編みたいなものとも言えるけれども、発売の経緯はどうあれ、楽曲の完成度は悪くなく、わたしは嫌いじゃない。

ウエスタン調のアレンジがカッコいいトラディショナル「西部のユリ」から始まり、エルヴィスの「好きにならずにいられない」やジョニ・ミッチェルの「ビッグ・イエロー・タクシー」、ハンク・スノウの「フール・サッチ・アズ・アイ」など選曲も面白く、楽しいアルバムだ。カバー・アルバムのはしりと言えるかもしれない。ロッド・スチュワートや徳永英明の大先輩だ。

このアルバムはディランの意向で永らく廃盤になっていて、数年前に何十年ぶりかに復刻された。

たしかにコロムビアが無許可で出したアルバムにはちがいないが、しかしこれを選曲・編集した担当者には、ディランの音楽への深い理解と愛があったように思えてならない。

↓ トラディショナル「西部のユリ(Lily of the West)」

↓ エルヴィス・プレスリーの「好きにならずにいられない(Can’t Help Falling in Love)」のカバー。

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