【ディランのアルバム全部聴いてみた】『トラヴェリン・スルー』(2019)

Bootleg Series 15:.. [12 inch Analog]

【ディランのアルバム全部聴いてみた 68枚目】
Bob Dylan “The Bootleg Series Vol. 15: Travelin’ Thru, 1967–1969”

ブートレッグ・シリーズ第15集は、1967~69年の『ジョン・ウェズリーハーディング』『ナッシュヴィル・スカイライン』という〈ディラン、カントリーにハマる〉期のアウトテイク集。CD3枚組だが、1枚にチョイスしたサンプラー版というお手軽なものも発売されている。

嬉しいのはDisc2のジョニー・キャッシュとのセッション集だ。「ビッグ・リヴァー」「リング・オブ・ファイア」などの有名曲や「マッチボックス」「ザッツ・オール・ライト、マ」「ミステリー・トレイン」などサンレコードの往年の名曲も。ただし、全体的にはリラックスしたムードで、試しになんかやってみよう、という程度の演奏で、マンキンで歌ってるわけではない。

ロックとカントリーというジャンルの距離は、近いようで遠いらしく、両陣営のアーティストのセッションというのは昔からそんなに多くはない。ブルースマンとロックアーティストのコラボに比べたら圧倒的に少ない。

だからこのロックとカントリーの2台巨頭が実に良い時期に出会って一緒に演奏したことに奇跡のようなものを感じる。曲間の、なにを話しているかわからないけどちょっとしたおしゃべりを聞いてるだけでもなんだかグッときてしまうのだ。

↓ ボブ・ディランとジョニー・キャッシュによる「おたずね者(Wanted Man)」。