ボブ・ディラン【名盤ベストテン】BOB DYLAN Greatest 10 Albums

Classic Dylan: A Collection of All the Music from Four Landmark Dylan Albums (Bob Dylan)

ボブ・ディランの全アルバムも聴き終わってホッと一段落のはずでしたが、なぜかいまだに日々ディランを聴き続けています。
彼の独特の声と深い音楽性は一度ハマり込むとなかなか抜け出せない底なし沼みたいな、しかもちょうど適温で体の芯から温めてくれるような、癒しにもなれば活力にもなるような、わたしにとってはそんな温泉みたいな音楽になっています。もしかすると中毒の症状かもしれません。

てなわけで今回は、ディランの現時点までのすべてのアルバムから、名盤ベストテンを選んでみました。

第10位 オー・マーシー(1989)
Oh Mercy

OH, MERCY

80年代は音楽的に迷走し、セールス面でも不調が続いたディランが、当時U2のプロデュースで成功を収めていたダニエル・ラノワを起用した起死回生作。全米30位、全英6位と、セールスもやや持ち直し、内容的にも80年代の最高傑作となった。

「オー・マーシー」の過去記事はこちら

第9位 ナッシュヴィル・スカイライン(1969)
Nashville Skyline

NASHVILLE SKYLINE

60年代後半からカントリーの聖地ナッシュヴィルでアルバムを制作するなど、カントリーへの接近を試みてきたディランが、発声もカントリー用に変えて挑んだ、本格的なカントリー・アルバム。カントリー界のビッグ・ボス、ジョニー・キャッシュとも共演を果たした。全米3位、全英1位。

「ナッシュヴィル・スカイライン」の過去記事はこちら

第8位 ジョン・ウェズリーハーディング(1967)
John Wesley Harding

JOHN WESLEY HARDING

前作『ブロンド・オン・ブロンド』に続きナッシュヴィルで録音した本作は、カントリー・ロックの原点とも評されている。前作までのようなエレキギターもハモンドオルガンも入っていない、アコースティックを基本にした極めてシンプルなサウンドだ。余分な飾りや色付けのない、クールで美しいモノクロ写真のようで、わたしはこのサウンドが凄く好きだ。全米2位、全英1位の大ヒット作。

「ジョン・ウェズリー・ハーディング」の過去記事はこちら

第7位 アナザー・サイド・オブ・ボブ・ディラン(1964)
Another Side Of Bob Dylan

Another Side of Bob Dylan [12 inch Analog]

ディランが初期の反戦歌やプロテスト・ソングを歌う社会派フォークシンガーを卒業し、暗喩や寓話に満ちた言葉で、私的な内容やラヴ・ソングを歌った名曲がズラリと並んだアルバムだ。このディランの変化・成長は、恋人だったスーズ・ロトロとの別れが大きく影響していると思われる。タイトルは「アナザー・サイド…」だが、これこそディランが本来の自分の姿を取り戻した作品と言うべきだろう。

「アナザー・サイド・オブ・ボブ・ディラン」の過去記事はこちら

第6位 フリーホイーリン・ボブ・ディラン(1963)
The Freewheelin’ Bob Dylan

フリーホイーリン・ボブ・ディラン

ボブ・ディランの名前を世界に知らしめた2ndアルバム。全曲ディランの弾き語りのみで「風に吹かれて」「北国の少女」「戦争の親玉」「はげしい雨が降る」「くよくよするなよ」など、初期の名曲がどっさり入っている。

「フリーホイーリン・ボブ・ディラン」の過去記事はこちら

第5位 血の轍(1975)
Blood on the Tracks

BLOOD ON THE TRACKS

70年代に入ってから、一時期隠遁生活に入ったり、レコード会社を突然移籍したり、復帰したり、音楽的にもやや迷走気味だったディランが完全復活を遂げた傑作。ディランの最高傑作に挙げる人も多いアルバムだ。全米1位、全英4位。

「血の轍」の過去記事はこちら

第4位 ブリンギング・イット・オール・バック・ホーム(1965)
Bringing It All Back Home

BRINGING IT ALL BACK HOME

ディランが初めてバンドを従えてレコーディングした5作目。フォーク・ロックの誕生であると同時に、その後に続くアメリカン・ロックの原点となった、ロック史上に輝く重要作と言える。「サブタレニアン・ホームシック・ブルース」「ミスター・タンブリンマン」「イッツ・オール・オーバー・ナウ、ベイビー・ブルー」「ラヴ・マイナス・ゼロ/ノー・リミット 」「マギーズ・ファーム」など初期の名曲を多数収録。全米6位、全英1位。

「ブリンギング・イット・オール・バック・ホーム」の過去記事はこちら

第3位 追憶のハイウェイ61(1965)
Highway 61 Revisited

Highway 61 Revisited [Analog]

ディランの代名詞とも言える名曲「ライク・ア・ローリング・ストーン」で幕を開けるこの6作目は前作『ブリンギング・イット・オール・バック・ホーム』をさらに上回り、絶好調のディランの猛烈なパワーと強い圧が漲る、フォーク・ロックの完成形となった。全米3位、全英4位。

「追憶のハイウェイ61」の過去記事はこちら

第2位 欲望(1976)
Desire

Desire [12 inch Analog]

スカーレット・リヴェラの弾く、情念が滴るようなジプシー・ヴァイオリンが衝撃的。エミルー・ハリスの祈るような切実さを持つ声のバック・コーラスも加わり、ディランのアルバム中でも最もエモーショナルなアルバムとなった。濃厚で、むせ返るように熱い、感動的な作品だ。全米1位、全英3位。

「欲望」の過去記事はこちら

第1位 ブロンド・オン・ブロンド(1966)
Blonde on Blonde

Blonde On Blonde (2022 Vinyl) [Analog]

初のナッシュヴィル録音も含む、ロック史上初の2枚組LPとなった7作目。ディラン自身が「このアルバムはサウンドが黄金に輝いている。僕が心の中で聴いていたサウンドに最も近い。ずっとこんなアルバムを作りたかったんだ」と語った、ボブ・ディランの音楽を極めた作品となった。輝かしい暖かい響きのサウンドと、明るく、優しく、親しみやすい音楽に満ちた名作だ。

「ブロンド・オン・ブロンド」の過去記事はこちら

以上、ボブ・ディランの名盤ベストテンでした。

やはり初期の頃のアルバムに偏ってしまったけれども、まあやっぱり、誰もやっていないことを次々とやって世界中を驚かせていた、いちばん輝いていた時期なので仕方がないかなと思う。

そして結局は王道なチョイスになってしまったので、ディランをこれから聴いていこうという方にもそのまま薦められるような10枚になったと思います。

最初にベスト盤を聴き終えたら、こちらの10枚をどれからでもいいので、試しに聴いてみて欲しいなと思います。

(by goro)

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