【ディランに恋い焦がれたロックの女王】パティ・スミス/チェンジング・オブ・ザ・ガーズ(2007)

Twelve

【カバーの快楽】
Patti Smith – Changing of the Guards

パティ・スミスが2007年に発表したカバー・アルバム『トゥウェルブ(Twelve)』に収録されたボブ・ディランのカバーだ。

このアルバムに選ばれた12曲は、まさにロックの女王が愛したアーティストたち、といった趣である。
ビートルズ、ストーンズ、ジミヘン、ドアーズ、ニール・ヤング、ジェファーソン・エアプレーン、ニルヴァーナ、R.E.M.などなど。

そしてボブ・ディランからはこの曲を選ぶなんて、なんとも嬉しくなる選曲だ。原曲は、ディランがポップ方面に舵を切ったアルバム『ストリート・リーガル(Street Legal)』に収録されている。わたしも大好きな曲だ。

パティ・スミスのバージョンは、元々はポップなアレンジの原曲を、アコギを中心に据えたシンプルでクラシックな編成ながらもちゃんと2000年代らしい新鮮な響きがする、渋くてカッコいいアレンジになっている。ディランもきっと「こりゃいいな」と思ったのではないか。

そもそもシカゴで生まれてニュージャージーで育ったパティ・スミスが、大学卒業後にニューヨークに出てきたのは、ボブ・ディランの恋人になるためという、なかなかイカれた目的だった。

その夢は(たぶん)叶わなかったが、しかし彼女はロックの女王となってディランと一緒にツアーを行ったり、共演もした。彼のノーベル文学賞授賞式に代理として出席したのは本望だったろう。
なにしろ、ボブ・ディランはアメリカン・ロックの礎を築いた伝説の王なのだ。王様の代理をロックの女王が務めたのは、いかにもふさわしい。

彼女はその授賞式で「はげしい雨が降る」を歌った。

↓ ボブ・ディランのオリジナル。

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