ヒストリー・オブ・ロック 1962【そして西海岸ではサーフ・ミュージックが】Greatest 10 Songs

Surfin' Safari -Coloured- [Analog]

1962

アメリカの東海岸ではニューヨークを中心にフォーク・ブームが巻き起こり、そして西海岸ではカリフォルニアを中心にサーフ・ミュージックが流行していた。ロックンロールの聖火が風前の灯となっていた時代に、その火種を受け継いだのがこのサーフ・ミュージックだった。

ガールズ・ポップも新しい才能が続々と現れて洗練の度合いを増していった。
史上初の本格的なブルー・アイド・ソウルが登場し、南部ではサザン・ソウル(ディープ・ソウル)の歴史が始まる。

そしてイギリスの港町からは、思春期に50年代アメリカのロックンロールに影響を受けた少年たちが、自ら楽器を手に取ってバンドを組み、まるでロックンロールの使徒のように、海を渡って世界へと飛び立とうとしていた。

以下は、嵐の前の静けさのような、ロックンロール復活の兆しが見える1962年の名曲10選です。

リトル・エヴァ/ロコ・モーション
Little Eva – The Loco Motion

The Loco-Motion

当時20歳のキャロル・キングと夫のジェリー・ゴフィンがベビー・シッターとして雇っていた少女がこのリトル・エヴァだった。2人があるグループのために書いたこの曲のデモ・テープを試しに彼女に歌わせてみたところ、レコード会社の社長がそれを聴いて気に入り、レコード化することになったという。そして全米1位の大ヒットとなった。
キャロル・キングの天才が発揮された、60年代ポップスの最高傑作のひとつだ。

「ロコ・モーション」の過去記事はこちら

キャロル・キング/イット・マイト・アズ・ウェル・レイン・アンティル・セプテンバー
Carole King – It Might as Well Rain Until September

It Might As Well Rain..

こちらはその当時のキャロル・キングが自身で歌った曲で、全米22位、全英3位のヒットとなった。この、彼女の独特の節回しがたまらない。当時からすでに完成されたキング節だ。

「イット・マイト・アズ・ウェル・レイン・アンティル・セプテンバー」の過去記事はこちら

カスケーズ/悲しき雨音
The Cascades – Rhythm of the Rain

The Cascades - Rhythm of the Rain: lyrics and songs | Deezer

カスケーズは1962年にカリフォルニアのサンディエゴで結成されたバンドだ。この曲はリーダーのジョン・グモーが書いた代表曲。全米3位の大ヒットとなり、日本でも大ヒットした。
一度聴いたら忘れられないメロディと、キラキラと輝くような響きのチェレスタを使ったアレンジが印象的だ。

ザ・フォー・シーズンズ/シェリー
The Four Seasons – Sherry

SHERRY & 11 OTHERS (LIMITED MONO MINI LP SLEEVE EDITION)

超高音ファルセットのフランキー・ヴァリがリード・ヴォーカルをとるザ・フォー・シーズンズは、史上初の本格的なブルー・アイド・ソウルとしてヒット曲を連発し、世界的な成功を収めた。この曲は彼らのブレイク作で、5週連続全米1位という特大のヒットとなった代表曲だ。
彼らの全盛期やその裏側を描いた音楽伝記映画『ジャージー・ボーイズ』は、クリント・イーストウッド監督の手になる傑作だ。

映画『ジャージー・ボーイズ』の過去記事はこちら

サム・クック/ブリンギング・イット・オン・ホーム・トゥ・ミー
Sam Cooke – Bring It On Home to Me

Best of Sam Cooke

去っていった恋人に「おれのところに戻ってきてくれ~」と切々と歌うラブソング。天才的なメロディメーカーのサム・クックらしい、哀愁たっぷりのメロディだ。ストリングスのアレンジがまた泣かせる。わたしがいちばん好きなサム・クックの曲だ。
最初から最後までバックヴォーカルと二人で歌っているのもまた、どこか郷愁を誘うような、胸に沁みる効果が生まれている。

サム・クック【名曲ベスト5】の過去記事はこちら

オーティス・レディング/ジーズ・アーム・オブ・マイン
Otis Redding – These Arms of Mine

Pain in My Heart [12 inch Analog]

サム・クックに憧れたオーティス・レディングのデビュー・シングル。R&Bチャート20位のヒットとなった。サム・クックからオーティス、という系譜が出来たところからサザン・ソウル(ディープ・ソウルとも言う)の歴史が始まった。
彼らは多くのロック・アーティストに多大な影響を与えた。

「ジーズ・アーム・オブ・マイン」の過去記事はこちら

ブッカーT.&ザ・MG’s/グリーン・オニオン
Booker T & the MG’s – Green Onions

Green Onions -Remast-

スタックス・レコードの専属バンドとして、オーティス・レディングなどのバックを務めた名人たちが、このブッカーT.&ザ・MG’sだ。
黒人と白人の混成バンドは彼らが史上初だったとも言われている。そして彼らは新たなソウル・ミュージックのサウンドを創造した。
この曲は彼らのデビュー・シングルで、インストゥルメンタルながら全米3位の大ヒットとなった。

ディック・デイル/ミザルー
Dick Dale – Misirlou

Miserlou

サーフ・ロックのパイオニア、ディック・デイルの62年のヒット曲。映画『パルプ・フィクション』の冒頭でカッコいい使われ方をしていたことで有名になった曲だ。
ロックンロールの聖火がまさに消えようとしていた時代に、その風前の灯となっている火種を受け継いだのがこれらのサーフ・ミュージックだったと言えるだろう。

「ミザルー」の過去記事はこちら

ザ・ビーチ・ボーイズ/サーフィン・サファリ
The Beach Boys – Surfin’ Safari

Surfin' Safari -Coloured- [Analog]

アメリカにおいて、風前の灯となっていたロックンロールの聖火を再び燃え盛る炎に変えたのがこのビーチ・ボーイズだった。この曲は、西海岸のサーフ・ミュージックを世界的な人気にまで高めた彼らのメジャー・デビュー・シングルだ。斬新なハーモニーと共に誕生したこの新時代のポップスは、全米チャートの14位まで上昇するヒットとなった。

ザ・ビーチ・ボーイズ【名曲ベストテン】はこちら

ザ・ビートルズ/ラヴ・ミー・ドゥ
The Beatles – Love Me Do

ザ・ビートルズの「Love Me Do」が全米1位になるまでの長い道のり

そして、1962年10月5日にイギリスで発売されたこのシングル・レコードからロックンロールの歴史の第二幕が始まったと言っても過言ではないだろう。全英17位とまずは静かな幕開けだった。
翌年、彼らの猛烈な勢いの世界制覇が始まり、ロックンロールが復活し、地球上がお祭り騒ぎになる。

選んだ10曲がぶっ続けで聴けるYouTubeのプレイリストを作成しましたので、ご利用ください。
♪YouTubeプレイリスト⇒ヒストリー・オブ・ロック 1962【そして西海岸ではサーフ・ミュージックが】Greatest 10 Songs

また、apple musicのプレイリストとしても作成済みです。
apple musicをご利用の方はこちらのリンクからプレイリストにジャンプできます。

ヒストリー・オブ・ロック 1962【そして西海岸ではサーフ・ミュージックが】Greatest 10 Songs (goromusic.com)

ぜひお楽しみください。
(by goro)

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