ヒストリー・オブ・ロック 1965【”ロックンロール”から”ロック”へ】Greatest 10 Songs

Out Of Our Heads

1965

“ロックンロール”と”ロック”という二つの言葉の違いに明確な定義は無いだろうけど、なんとなく、”ロックンロール”は50年代に流行したの初期型のもので、60年代のある頃から”ロック”に変わったようなイメージはある。

もともと”ロックンロール”はダンス・ミュージックとして生まれた。ダンス・パーティーでバンドが演奏し、曲に合わせてツイストやモンキー・ダンスを踊ったり、カップルで飛んだり跳ねたりしていたものだ。だから歌詞もわりあい他愛のない「みんなで一緒に踊ろうよ」みたいなものが多かった。

だから”ロックンロール”には常にダンス・ミュージックの要素が付いていたものだけれども、それを剥ぎ取って、もっと音楽的な拡がりや充実、歌詞の内容などを追求した結果、”ロック”へ変わったのだろうと思う。

その変化が起こった決定的な年が、この1965年だった。

デビューした頃のビートルズはまだ”ロックンロール”というダンス・ミュージックをやっていたものだけれども、この年に生まれたローリング・ストーンズの「サティスファクション」やザ・フー「マイ・ジェネレーション」はビートの問題だけでなく、そのメッセージ性の強さやサウンドの荒々しさからも、ダンス・ミュージックとはかけ離れたものになっている。
ボブ・ディランの「ライク・ア・ローリング・ストーン」などは、もはやダンスの要素など1ミリも無い、ロックンロールと言う言葉すらまったく似合わない、完全なる新型の”ロック”である。

ロックは「愛だの恋だの」の段階から、若者たちが感じている、状況への違和感や怒りや苦悩、フラストレーションを自分の言葉で歌い始める段階に入ったのだ。
さらにはドラッグやセックスを扱ったりと、ロックは非常識的でダークな表現もできる音楽となり、ポピュラー・ミュージックとしてはそれまでになかったような、より深い次元のものへと進化していく。

以下は、そんな”ロックンロール”が”ロック”へと進化した記念すべき年、1965年を象徴する名曲10選です。

ザ・ローリング・ストーンズ/サティスファクション
The Rolling Stones – (I Can’t Get No) Satisfaction

OUT OF OUR HEADS

ストーンズが初めての全米1位(全英も1位)に輝いた世界的なヒット曲。

印象的な醜い音のギターのリフに乗せて「なにをやっても、何度やっても、うまくいかない、満足できないんだ」と、若者らしい怒りやフラストレーションを歌った。

それまでブルースやR&Bのカバーを中心にしていたストーンズがギア・チェンジし、ローリング・ストーンズの歴史が動き出し、ロックの歴史が動き出した瞬間だった。

「サティスファクション」の過去記事はこちら

ザ・フー/マイ・ジェネレーション
The Who – My Generation

My Generation [12 inch Analog]

当時としては信じがたいほど騒々しいサウンドに乗せて、若い世代のナマの声を、大嫌いな大人たちに向かって、ドモりながらも懸命に自己主張しようとする歌だ。この曲によって世代間の断絶がついに白日の下にさらされ、ロックは古い世代と闘う若者たちの歌になった。

その意味でこの曲が、史上初のパンクロック・アンセムと言っても間違いではないと思う。

「マイ・ジェネレーション」の過去記事はこちら

ザ・ビートルズ/ヘルプ!
The Beatles – Help!

Help!

初期のビートルズは50年代のロックンロールを踏襲して、愛だの恋だのダンスだのなんだのを歌っていたが、この曲あたりからやはり様相が変わってくる。彼らは人気絶頂のスーパーアイドルだったけれども、その状況にはやはり違和感を感じていたのだろう。

「助けて! 誰でもいいから!」と歌うやや病的な歌詞に、切実なメロディー、そこにポップなコーラスと軽快なビートという、なかなか変態チックな曲になっていると思う。

「ヘルプ」の過去記事はこちら

ザ・ヤードバーズ/トレイン・ケプト・ア・ローリン
The Yardbirds – The Train Kept A Rollin

Having a Rave Up

ロンドンで結成されたヤードバーズは、エリック・クラプトン、ジェフ・ベック、ジミー・ペイジと、在籍したギタリストがその後に超有名になったことで知られるバンドだ。この曲はジェフ・ベック時代に録音されたものだ。

ブルースから発展してギターのリフを中心に据えたこの曲が象徴するように、ヤードバーズは後のハード・ロックの源流のひとつと言えるだろう。

「トレイン・ケプト・ア・ローリン」の過去記事はこちら

スモール・フェイセス/ホワッチャ・ゴナ・ドゥ・アバウト・イット
The Small Faces – What’cha Gonna Do About It

SMALL FACES-40TH ANNIVERS

ロンドン・イーストエンド出身のスモール・フェイセスは、ウエストエンド出身のザ・フーと並んで人気のあったモッズ・バンドだ。モッズって何?という方には、ここでは説明する余裕がないので、1979年のイギリス映画『さらば青春の光』を観ることをお薦めしたい。

この曲は彼らのデビュー・シングルで、いかにもモッズ・バンドらしい曲だ。全英14位のヒットとなった。

「ホワッチャ・ゴナ・ドゥ・アバウト・イット」の過去記事はこちら

ジェームス・ブラウン/パパのニューバッグ
James Brown – Papa’s Got A Brand New Bag

James Brown Plays James Brown Today & Yesterday

そのモッズたちからも人気の高かったソウルの王様、ジェームズ・ブラウンの、R&Bチャート1位、全米8位となったヒット・シングル。

1965年はロック界にも様々な革命が起きたが、この曲はファンクの誕生と言えるものであり、ブラック・ミュージックの歴史における革命的な曲となった。クールでスタイリッシュかつアグレッシヴな初期型ファンク・ナンバーだ。

「パパのニュー・バッグ」の過去記事はこちら

ロイ・オービソン/おお、プリティ・ウーマン
Roy Orbison – Oh, Pretty Woman

Oh, Pretty Woman

凄い曲だ。ポップなつかみから始まるものの、その後の展開に次々と予想を裏切られる異様な曲なのに、全体としてはポップという、不思議な曲だ。まさに天才の作である。全米・全英共に1位と大ヒットした。

「おお、プリティ・ウーマン」の過去記事はこちら

ザ・ソニックス/サイコ
The Sonics – Psycho

HERE ARE THE SONICS!!!

米ワシントン州シアトル近郊出身のザ・ソニックスは、地元以外ではほとんど売れなかったバンドだ。それもそのはずで、彼らは65年においてすでにパンクをやろうとしている、実にクレイジーなバンドだ。もしかすると、知られていないだけで他にもこんなバンドはたくさんあったのかもしれない。まさにそんな彼らこそがガレージ・ロックの祖と言えるだろう。

「サイコ」の過去記事はこちら

ザ・バーズ/ミスター・タンブリンマン
The Byrds – Mr. Tambourine Man

Mr Tambourine Man [12 inch Analog]

いったいどうやってこんな新鮮で美しいサウンドを創り上げたのかと、この曲を聴くたびに思う。作者のボブ・ディランもビックリだったろう。バーズのサウンドは“フォーク・ロック”と呼ばれ、ボブ・ディランのそれと共にその後のアメリカン・ロックの源流となった。この曲は彼らのデビュー・シングルながら、いきなり全米・全英ともに1位の大ヒットとなった。

「ミスター・タンブリンマン」の過去記事はこちら

ボブ・ディラン/ライク・ア・ローリング・ストーン
Bob Dylan – Like a Rolling Stone

HIGHWAY 61 REVISITED [12 inch Analog]

全米2位のヒットとなった、ボブ・ディランの代表曲。曲ももちろん素晴らしいし、アル・クーパーのキーボードが印象的なアレンジも良いが、この「贅沢し放題の上流の女だった君が、落ちぶれて誰にも相手にされなくなるってどんな気分なんだい?」と歌う強烈な歌詞もまた凄い。”ロックンロール”から”ロック”へ、ロックの歴史開闢となった記念すべき名曲だ。

「ライク・ア・ローリング・ストーン」の過去記事はこちら

選んだ10曲がぶっ続けで聴けるYouTubeのプレイリストを作成しましたので、ご利用ください。

♪YouTubeプレイリスト⇒ ヒストリー・オブ・ロック 1965【”ロックンロール”から”ロック”へ】Greatest 10 Songs

また、apple musicのプレイリストとしても作成済みです。
apple musicをご利用の方はこちらのリンクからプレイリストにジャンプできます。

ヒストリー・オブ・ロック 1965【”ロックンロール”から”ロック”へ】Greatest 10 Songs (goromusic.com)

ぜひお楽しみください。
(by goro)

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