はじめてのサイケデリック・ロック【必聴名曲10選】PSYCHEDELIC ROCK Songs to Listen to First

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サイケデリック・ロックは、1966年頃に米英でほぼ同時に生まれた音楽で、その起源はアメリカではバーズの「霧の8マイル」、イギリスではビートルズの「トゥモロー・ネヴァー・ノウズ」ということになるだろう。

米英で同時にというのも不思議なものだが、カルチャーの突然変異には意外と同時発生的なところがあったりするものだ。きっと無意識に影響し合っているのだろう。

サイケデリック・ロックは、当時ヒッピー文化から広まったと言われる幻覚剤〈LSD〉(当時はまだ違法ではなかった)やマリファナ、コカインといったドラッグによる幻覚体験を音楽に反映させたものとされる。

わたしは残念ながらドラッグをやったことがないのでわからないけれども、その音楽のイメージはどこか非現実的で、世界がぐんにゃりと歪んで極彩色に明滅するような、発狂や臨死体験の一歩手前みたいな、そんな感じである。

ただしサイケデリック・ロックと言っても様々なものがある。当時は実験的にサウンドを加工してみたり、ちょっと変わったことをやればとりあえずサイケデリックと呼ばれるということもなきにしもあらずだっただろう。そのほうが流行の波に乗って売れやすいだろうし。

ここでははじめてサイケデリック・ロックを聴くという人のために、その原点となる60年代の最盛期のものから、比較的聴きやすい名曲(ちょっと長いのもあるけれども)を10組10曲選んでみました。

ザ・バーズ/霧の8マイル(1966)
The Byrds – Eight Miles High

フォーク・ロックという斬新なサウンドを確立させたバーズが、翌年に更なる成長を遂げる。
ジョン・コルトレーンの影響を受けたと言うマッギンのギターのイントロと複雑なリズムで始まるこの曲は、歌詞の内容もドラッグ・ソング的であり、史上初のサイケデリック・ロックと評価されている。全米14位のヒットとなった。

はじめてのバーズ【名曲10選】はこちら

ジミ・ヘンドリックス/紫のけむり(1967)
Jimi Hendrix – Purple Haze

ジミ・ヘンドリックスのギターは、荒ぶる獣の咆哮のようだ。楽器や機械の音であることを忘れて、人間の奥底にある原始の咆哮が溢れ出てきたような生々しさを感じる。当時はこの異様な音楽にどれほどの衝撃を受けた事だろう。

「紫のけむり」の過去記事はこちら

ザ・ドアーズ/ハートに火をつけて(1967)
The Doors – Light My Fire

ドアーズの2枚目のシングルで、全米チャート1位の大ヒットを記録した、彼らの代表曲である。
シングルでは短く編集されているが、オリジナルでは間奏が3分以上も続き、最後は獣のようなジム・モリソンの絶叫で終わる。全米1位のヒットソングとしてはやはり異様な曲であることは間違いない。

「ハートに火をつけて」の過去記事はこちら

ジェファーソン・エアプレーン/ホワイト・ラビット(1967)
Jefferson Airplane – White Rabbit

ヴォーカリストのグレイス・スリックの作。全米8位のヒットとなった。
「あなただけを」に次ぐ彼らの代表曲だが、こちらのほうがよりサイケデリック色が濃い。彼らはもともとサンフランシスコのコミューンで生活していたリアル・ヒッピーだったということもあり、本場のホンモノによるサイケデリック・ソングの代表曲だ。

クイックシルヴァー・メッセンジャー・サーヴィス/プライド・オブ・マン(1967)
Quicksilver Messenger Service – Pride of Man

クイックシルヴァー・メッセンジャー・サーヴィスもサンフランシスコのバンドだ。彼らもやはりドラッグのトリップ感を表現したシスコ風のサイケロックで、ジョン・シポリーナの独特のギターを中心にしたサウンドが特長だ。この曲は彼らの1stシングルで、原曲はイギリス人歌手ハミルトン・キャンプの1964年のヒット曲だ。

ピンク・フロイド/ルシファー・サム(1967)
Pink Floyd – Lucifer Sam

ピンク・フロイドの1stアルバム『夜明けの口笛吹き』収録曲。プログレッシヴ・ロックの代表格であるピンク・フロイドも、最初はサイケから始まったのだ。
当時のバンドの中心人物であるシド・バレットはLSDを過剰に常用していて、すでに常時サイケデリックな状態だったという。その意味でガチ中のガチと言えるだろう。

ザ・ローリング・ストーンズ/シーズ・ア・レインボウ(1967)
The Rolling Stones – She’s a Rainbow

この時期のストーンズはあまり調子が良くなかった。流行のサイケやコンセプト・アルバムにも挑戦したが、あまり良い出来とは言えなかった。たぶん本質的に向いていないのだろう。
しかしその時期に生まれた失敗作の山に埋もれそうになりながらも、この曲は輝いていた。

「シーズ・ア・レインボウ」の過去記事はこちら

ザ・ビートルズ/アイ・アム・ザ・ウォルラス(1968)
The Beatles – I Am the Walrus

サイケデリックも、結局一番うまく使いこなして、名曲を量産したのはやはりビートルズであり、中でもジョン・レノンだったような気がする。
彼の「トゥモロー・ネヴァー・ノウズ」は実験的な方法で生まれたサイケデリック・ロックのはしりと言えるけれども、ここではその実験の最良の成果とも言える、さらにサイケを完璧に使いこなした名曲としてこの曲を挙げたい。

ラヴ/アローン・アゲイン・オア(1968)
Love – Alone Again Or

米ロサンゼルスのバンド、ラヴの名盤3rd『フォーエヴァー・チェンジズ』収録曲。ラヴにはもっとガッツリサイケもあるけれども、ここでは彼らの代表曲でもあり、オシャレで上品なソフト系サイケとも言うべきこの曲をあえて選んでみた。サイケにもいろいろあるのだ。

グレイトフル・デッド/ダーク・スター(1969)
Grateful Dead – Dark Star (Live)

最後は60年代サンフランシスコを代表するドラッグ漬けバンドのガチ中のガチ、グレイトフル・デッドの『ライヴ・デッド』のオープニング・トラック。元々は3分弱のシングルだったこの曲は後にライヴでは長い長い即興演奏が披露される曲に変態し、このライヴ盤ではLPレコードの片面全部を使った23分の長尺となっている。聴いているうちに記憶が飛びそうになるほどのトリップ感は、これぞデッドの本領というものだろう。

選んだ10曲がぶっ続けで聴けるYouTubeのプレイリストを作成しましたので、ご利用ください。

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はじめてのサイケデリック・ロック【必聴名曲10選】PSYCHEDELIC ROCK Greatest 10 Songs (goromusic.com)

ぜひお楽しみください。

(by goro)