ヒストリー・オブ・ロック 1998【ロック空白期。。】Greatest 10 Songs

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1998

“ロック空白期”などと言われた時代だ。

イギリスではブリット・ポップの流行も完全終了し、ほとんどマニックスが孤軍奮闘しているような状況だった。

アメリカでは90年代を席巻したオルタナティヴ・ロックの流行も終わり、やや地味めのシンガー・ソングライターや、プログレみたいなポスト・ロック、キッズ向きのポップ・パンク、ヒップホップとメタルを融合したミクスチャー・ロックヘヴィ・ロック(ラウド・ロックとも言う)などが流行し始めた。

だから、今回は王道ロックからはちょっとズレたものばかりを選ばざるを得なかった。

だって、王道ロックが無いんだもの。

エアロスミスはハリウッド大作映画『アルマゲドン』の主題歌として、外部ソングライターによる大バラードで初の全米1位を獲得したが、これにも賛否両論が巻き起こり、新しいファンが大量についたものの、古くからのファンはそのエアロらしくもない大甘口ポップ・バラードに嘆き悲しんだものだ。

とてもロックがアツかった時代とは言えないが、ロックにもいろいろなスタイルがあっていいんじゃないかという、寛容な心で眺めてみれば、たしかに一部の好事家しか聴かないようなマニアックな音楽に成り果てるよりはよっぽどいいに違いない。

とはいえそんなロック空白期と言えども、面白いものがまったく無いわけではない。
以下は、そんな時代を象徴するこの年の10組10曲です。

マニック・ストリート・プリーチャーズ/輝ける世代のために
Manic Street Preachers – If You Tolerate This Your Children Will Be Next

This Is My Truth Tell Me Yours [Explicit]

マニックスの5枚目のアルバム『ディス・イズ・マイ・トゥルース・テル・ミー・ユアーズ』からのシングルで、彼らにとって初めての全英1位となった記念すべき大ヒット曲。

それが追い風となり、アルバムも初めての全英1位を獲得し、名実ともにイギリスを代表する国民的人気バンドとなった。

ベースのニッキーが全曲の歌詞を書くようになり、ポジティヴで平易な表現に変化したこともプラスに働いたようだ。

「輝ける世代のために」の過去記事はこちら

マニック・ストリート・プリーチャーズ【名曲ベストテン】の過去記事はこちら

ベル・アンド・セバスチャン/ザ・ボーイ・ウィズ・ザ・アラブ・ストラップ
Belle and Sebastian – The Boy With the Arab Strap

The Boy With the Arab Strap

スコットランド出身のインディー・ポップ・バンド。マスコミにあまり出てこないため謎も多く、どこかロック・シーンの外側にいるような、独自のスタンスを維持している印象のグループだ。

手作り感の強い家庭菜園的な音楽性は、ハマると中毒性が高いとも言われている。この曲は、全英12位と彼らの出世作となった3rdアルバムのタイトル曲。

ホール/セレブリティ・スキン
Hole – Celebrity Skin

Celebrity Skin [12 inch Analog]

カート・コバーンの嫁としての話題ばかりが先行したコートニー・ラヴのバンドだが、夫の死とバンドのベーシストの死(ドラッグの過剰摂取)という悲劇の連続を乗り越えて見事に復活作となったのがこの3rdアルバム『セレブリティ・スキン』だ。全米9位と初のトップ10入りを果たした。

想像を絶する深い悲しみ、非難、重圧を乗り越えて、長かった暗闇を突き抜けたコートニーの姿は清々しいほどの美しさだ。

ルシンダ・ウィリアムズ/キャント・レット・ゴー
Lucinda Williams – Can’t Let Go

Car Wheels on a Gravel Road

ルシンダ・ウィリアムスはデビュー19年目のこの年、5thアルバム『カー・ホイール・オン・ア・グラヴェル・ロード』を発表し、グラミー賞ベスト・コンテンポラリー・フォーク・アルバム賞を受賞してブレイクした、当時45歳の超遅咲きである。

オルタナ・カントリーとも評される彼女の音楽性は、極めてシンプルで生命力の強い、野生の雑草のようだ。

「キャント・レット・ゴー」の過去記事はこちら

エリオット・スミス/ミス・ミザリー
Elliott Smith – Miss Misery

Miss Misery (Early Version)

L.A.出身のシンガー・ソングライター、エリオット・スミスの出世作。

ガス・ヴァン・サント監督の映画『グッド・ウィル・ハンティング/旅立ち』のために書かれた曲で、アカデミー賞の最優秀歌曲賞にノミネートされ(受賞したのは『タイタニック』のセリーヌ・ディオンだった)、授賞式でも歌い、一躍彼の顔と名が世界中に知られることになった。

しかし、その後の彼の人生は苦難の連続で、うつ病を発症したり、アルコールやドラッグに溺れ、34歳のときに自殺か他殺かもわからない状況で死去している。

ルーファス・ウェインライト/エイプリル・フールズ
Rufus Wainwright – April Fools

Rufus Wainwright

N.Y.出身のルーファス・ウェインライトもまた、ロックやポップスの枠だけに収まらない、幅広い音楽性を持つ新しいタイプのシンガー・ソングライターだった。

13歳の頃は家族でフォーク・グループとして巡業していたというが、ルーツ・ミュージックからオペラの影響までもが含まれた、ジャンルも時空も超越したような音楽だ。

マーキュリー・レヴ/ゴッデス・オン・ア・ハイウェイ
Mercury Rev – Goddess on a Highway

Deserter's Songs

N.Y.出身で元々は轟音ギター系のオルタナティヴ・ロックバンドだったがなかなか売れず、この年リリースの4thアルバム『ディザスターズ・ソング』で方向性を転換し、轟音ギターを排して、シンセやストリングス、テルミンなどを使用したプログレッシヴ・ロック的な作風に転向すると高く評価された。

この曲はアルバム中でも最もポップな曲のひとつだが、アルバムにはピンク・フロイドを想起させるものから、ウェーベルンのような実験的な作風のものまで、宇宙的な広がりを思わせるような作品となっている。

コーン/ガット・ザ・ライフ
KoЯn – Got The Life

Got the Life [Explicit]

カリフォルニア出身のミクスチャー・ヘヴィ・ロック・バンド、コーンの3rdアルバム『フォロー・ザ・リーダー』収録曲。

それまで、ロック・サウンドにラップを乗せるようなバンドは普通にいたが、コーンはサウンドそのものがヒップホップ・サウンドのような、打楽器のように弾かれる5弦ベースやダウン・チューニングの7弦ギターで徹底的に低域を強調した、体の芯にビンビン響く、まったく新しいスタイルのヘヴィ・ロックだった。

このコーンの影響は大きく、その後瞬く間にヘヴィ・ロック(またはラウド・ロック)と呼ばれる一大勢力がロック界を席巻していく。

オフスプリング/プリティ・フライ
The Offspring – Pretty Fly (for a White Guy)

Americana

ヘヴィ・ロックの流行と並行してこの時期はポップ・パンクという大きな流行もあったが、それを牽引したのがこのオフスプリングだ。

バンド名の「バカ息子」という意味通りの作風で、この曲はいかにもバカっぽい「アハン、アハン」のコーラスで知られた、彼らの最も有名な曲だ。

このPVの主人公の若者のような「ヒップホップ系の黒人に憧れる白人の若者」を徹底的にコケにした歌詞なのだそうな。

エアロスミス/ミス・ア・シング
Aerosmith – I Don’t Want to Miss a Thing

I Don't Want to Miss a Thing (From "Armageddon" Soundtrack)

映画『アルマゲドン』の主題歌となった大バラードで、エアロスミスにとってはデビューから25年目にして初の全米1位を獲得したシングルだった。

たぶん、45歳未満のエアロスミスのファンには最も愛された曲で、45歳以上のファンには最も嫌われた曲なんじゃないかとも思う。

まあ、いいじゃないか。

「ミス・ア・シング」の過去記事はこちら

エアロスミス【名曲ベストテン】の過去記事はこちら

選んだ10曲がぶっ続けで聴けるYouTubeのプレイリストを作成しましたので、ご利用ください。

♪YouTubeプレイリスト⇒ ヒストリー・オブ・ロック 1998【ロック空白期。。】Greatest 10 Songs

また、apple musicのプレイリストとしても作成済みです。
apple musicをご利用の方はこちらのリンクからプレイリストにジャンプできます。

ヒストリー・オブ・ロック 1998【ロック空白期。。】Greatest 10 Songs (goromusic.com)

ぜひお楽しみください。

(by goro)

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