ヒストリー・オブ・ロック 2001【帰ってきたロックンロール】Greatest 10 Songs

Is This It (International Pressing)

2001

アメリカで同時多発テロが起こり、全世界に衝撃を与えたこの年が、21世紀の幕開けとなった。
わたしは前年に結婚しており、レンタルビデオ店の店長としても3年目となり、独身クズ時代の借金も過払い金の返還によってチャラになり、公私ともに安定した日々を送っていた。

前世紀末に流行していたヘヴィ・ロック(ラウド・ロックとも言った)、ポップ・パンク、エモ、ポスト・ロック、ヒップホップ、テクノ、アンビエント、などに埋め尽くされたロック・シーンにはわたしが好きになれるものはほとんどなく、もうずいぶんロックとは疎遠になってしまっていた。

しかし、なんの因果かこの21世紀最初の年に、ザ・ストロークスやホワイト・ストライプスのブレイクをきっかけに、”ロックンロール・リヴァイヴァル”という、なんとも楽し気な、なんともソソられるムーヴメントが始まったのだ。

前世紀末のロックは、音圧を競い合うかのように重量化し、歌うのもやめてラップになり、過激化というエンターテインメント化で、セールスを果てしなく伸ばした。しかしそれも世紀の終わりとともにリセットされ、21世紀の幕開けと共に再びロックンロールという最もシンプルな原点の姿で再起動されたのだ。

ロックの歴史は常にこの繰り返しだったとも言える。
ロックは個性を競い合い、それが行き過ぎて複雑化し、過激化し、商業化したり異形化したりして収拾がつかなくなると、またロックはシンプルで熱くてカッコよくて滅法楽しい、若者たちを熱狂させるあの初期型に似たアグレッシヴな姿へと原点回帰するのだ。

ロックンロールの原点回帰はわたしの大好物だ。わたしはすぐに飛びついた。
21世紀のロックンロールは、ザラついた質感ながら鋭く、苦みが強く、コシがあって、痺れが舌に残るような、マニアックな大人の味だった。わたしは気に入った。わたしはもうすっかり大人ではあったが血が騒ぎ、新しい時代の始まりに胸が躍った。

以下はそんな、またロックがちょっと楽しくなり始めた2001年の10組10曲です。

ザ・ストロークス/ラスト・ナイト
The Strokes – Last Nite

Is This It

ルー・リードやテレヴィジョンの影響を感じるいかにもN.Y.出身らしいザ・ストロークスの1stアルバム『イズ・ディス・イット』は、満タン山盛りの脂っこい料理や食べ残しが並ぶ卓袱台みたいな当時のロック・シーンをひっくり返した、歴史的なアルバムとなった。

21世紀のロックをクールで刺激的で痛快なものに一変させた彼らの功績は大きい。

ザ・ホワイト・ストライプス/フェル・イン・ラヴ・ウィズ・ア・ガール
The White Stripes – Fell In Love With a Girl

Fell In Love With a Girl

ジャックとメグの元夫婦によるデトロイト出身のホワイト・ストライプスも、このロックンロール・リヴァイヴァルを牽引したもう一方の雄だ。

ベースなしのヴォーカル&ギターとドラムという編成で、60年代のガレージ・ロックのような独特のサウンドは、まさにロックの根源に迫るような、剥き出しの核のようなヒリヒリしたものを感じさせる。

この曲は彼らの出世作となった3rdアルバム『ホワイト・ブラッド・セルズ』からの、1分50秒しかないシングルだ。

ジャックのギター・プレイはジミー・ペイジやジェフ・ベックからも絶賛された。

ブラック・レベル・モーター・サイクル・クラブ/スプレッド・ユア・ラヴ
Black Rebel Motorcycle Club – Spread Your Love

Black Rebel Motorcycle Club [Analog]

いかにもカッコいいロックンロールをやりそうな名前とアートワークのバンドだ。バンド名はマーロン・ブランド主演の1953年の映画『乱暴者』に出てくる暴走族の名前から取られたらしい。

サイケ発祥の地サンフランシスコの出身らしく、ブルージーながらサイケ感もある、新世代らしいモダンなロックンロールを聴かせた。

ザ・ハイヴス/ヘイト・トゥ・セイ・アイ・トールド・ユー・ソー
The Hives – Hate to Say I Told You So

Veni Vidi Vicious

ザ・ハイヴスはスウェーデンのバンドだ。本国ですでに2枚のアルバムを出していたが、この年イギリスで編集盤『ユア・ニュー・フェイヴァリット・バンド』が発売されると、ロックンロール・リヴァイヴァルの波に乗って、一気に人気に火が点いた。

ジミー・イート・ワールド/ザ・ミドル
Jimmy Eat World – The Middle

Bleed American [12 inch Analog]

米アリゾナ州出身のポップ・パンク(またはエモ)バンド。
4thアルバム『ブリード・アメリカン』からのシングルで、彼らの最高位となる全米5位の大ヒットとなった。

上記の新世代ロックンロール・リヴァイヴァル・バンドたちを聴いた後ではすでに一時代前のロックにも聴こえてしまうが、それでもセールス的には圧倒的にこちらのほうがまだまだ強かったのだ。

トゥール/スキズム
Tool – Schism

Lateralus

L.A.のヘヴィ・ロック界のカリスマ、トゥールの3rdアルバム『ラタララス(Lateralus)』からのシングル。

なにしろ激重だ。そして暗い。そして怖い。

PVは気色悪いし、プログレみたいに複雑だし、まあなにしろわたしが理解できる要素がひとつもないバンドなのだが、アルバムは全米1位となり、世界的なブレイクを果たした。

ウィーザー/アイランド・イン・ザ・サン
Weezer – Island In The Sun

Weezer (Green Album)

前作が商業的に失敗し、相次ぐメンバーの脱退、フロントマンのリヴァース・クオモのハーバード大学入学など紆余曲折を経て、5年ぶりのリリースとなった3rd『ウィーザー(グリーン・アルバム)』からのシングル。

彼ららしい哀愁に満ちた泣きメロは健在で、アルバムは全米4位とこれまでで最高位の大ヒットを記録し、見事に復活を果たした。

スーパー・ファリー・アニマルズ/ジャクスタポーズド・ウィズ・ユー
Super Furry Animals – Juxtapozed with U

Rings Around The World

5枚目のアルバム『リングス・アラウンド・ザ・ワールド』からのシングルで、全英14位のヒットとなった。

ブリット・ポップ期の真っただ中でデビューした彼らだったが、パンクやプログレやエレクトロのごった煮的なポップなコンセプト・アルバムは彼らの成長と独自の音楽性の確立を示し、評価を高めた

ゴリラズ/クリント・イーストウッド
Gorillaz – Clint Eastwood

Gorillaz

ゴリラズは、ブラーのデーモンが音楽担当、漫画家のジェイミー・ヒューレットがヴィジュアルを担当した、バーチャル音楽プロジェクトだ。

4人の架空のアニメーション・キャラ(一人ずつちゃんと名前とその物語がある)がメンバーというテイで、デーモンが様々なミュージシャンとコラボしながら楽曲を制作している。

ライヴでは、アニメーションに合わせて、スクリーンの背後でデーモンたちが姿を一切見せずに演奏するという徹底ぶりだ。

この曲は1stアルバム『ゴリラズ』からのシングルで全英4位の大ヒットとなった。アルバムも700万枚を超える世界的ヒットとなった。何が売れるかわからんものだ。

ニュー・オーダー/クリスタル
New Order – Crystal

New Order - Get Ready [Vinyl LP] (1 LP)

ニュー・オーダーの8年ぶりのアルバム『ゲット・レディ』は、ギターを強調したり、スマパンのビリー・コーガンやプライマル・スクリームのボビー・ギレスピーが参加するなど、ロック色の強いものになり、大いに話題になった。

この曲は全英8位、米ダンスチャートで1位のヒットとなった。
ジャケはいつものようにピーター・サヴィルのデザイン。思わずジャケ買いしたくなるカッコ良さだ。

選んだ10曲がぶっ続けで聴けるYouTubeのプレイリストを作成しましたので、ご利用ください。

♪YouTubeプレイリスト⇒ ヒストリー・オブ・ロック 2001【帰ってきたロックンロール】Greatest 10 Songs

また、apple musicのプレイリストとしても作成済みです。
apple musicをご利用の方はこちらのリンクからプレイリストにジャンプできます。

ヒストリー・オブ・ロック 2001【帰ってきたロックンロール】Greatest 10 Songs (goromusic.com)

ぜひお楽しみください。

(by goro)

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