ヒストリー・オブ・ロック2004【甦る80年代】Greatest 10 Songs

Franz Ferdinand

2004

21世紀に入ってから停滞気味だった英国ロック・シーンは、フランツ・フェルディナンドの登場がカンフル剤となってようやく活性化し始めた。

彼らやブロック・パーティーを筆頭にした一大勢力は“ニューウェイヴ/ポスト・パンク・リヴァイヴァル”という長ったらしい呼び名で括られたが、要するに70年代末から80年代初頭のポスト・パンクやニュー・ウェイヴの再来のような、冷たく醒めた、機械的でありながらしかしエッジの立ちまくったあのサウンドを彷彿とさせるような音楽性のことらしい。もちろん拡大解釈してはいるだろうけれども。“ガレージ・ロック・リヴァイヴァル”はあっという間に終わり、次はこれが始まったというわけだった。イギリスというのはホント、移ろいやすい国だ。

あっちのロックからこっちのロックへと、常に耳あたりの新鮮な音を求めて右往左往するのがリスナーだ。
しかし21世紀に入ってからというもの、なんだか過去にあったサウンドに還ってばかりなのはそれだけもうロックもある程度やりつくされ、行き詰まってきたことを象徴しているのかもしれない。なんとかその中から新しいものを生み出そうとしているのは痛いほどわかるのだけれども。

さて、次回は2005年、このヒストリー・オブ・ロックのシリーズ最終回となります。

フランツ・フェルディナンド/テイク・ミー・アウト
Franz Ferdinand – Take Me Out

Franz Ferdinand

その”ニューウェイヴ/ポスト・パンク・リヴァイヴァル”のけん引役となったのが、このフランツ・フェルディナンドだった。

衣装もおしゃれな感じで颯爽としているが、実は彼らは意外と苦労人で、ドラマーは二度目のデビューだし、ヴォーカルのアレックスは3度目のデビューで、31歳だった。

この曲は彼らの2枚目のシングルで、全英3位、米オルタナチャートでも3位と、大ヒットを記録した。

「テイク・ミー・アウト」の過去記事はこちら

ブロック・パーティー/バンケット
Bloc Party – Banquet

Banquet [7 inch Analog]

この曲を収録したEPでこの年デビューしたブロック・パーティーもまた、ニューウェイヴ/ポスト・パンク・リヴァイヴァルの代表格だった。

断片のようなメロディと性急なビートのクールなサウンドがカッコいいけど、ナイジェリア人の両親を持つヴォーカルのケリーは、親族が人種差別主義者に殺害された経験を歌にするなど、社会派的な側面も持っているバンドだ。

「バンケット」の過去記事はこちら

カサビアン/クラブ・フット
Kasabian – Club Foot

カサビアン

だけど当時わたしがいちばん好きだったのはこのカサビアンだった。

最先端のサウンドを創造しながらも「英国ロック」の遺伝子を正統的に受け継いでいて、その独特のグルーヴと不穏な空気がまたたまらない。ビートとサウンド最優先ではなく、しっかりとメロディが書かれているのもわたし好みだった。

この曲は1stアルバム『カサビアン』からのシングルで、全英10位のヒットとなった。

「クラブ・フット」の過去記事はこちら

はじめてのカサビアン【名曲5選】の過去記事はこちら

ザ・リバティーンズ/キャント・スタンド・ミー・ナウ
The Libertines – Can’t Stand Me Now

The Libertines [輸入盤CD] (RTRADCD166)

相変らずわたしにはなにが良いのかさっぱりわからなかったが、リバティーンズの2ndアルバム『リバティーンズ革命!(The Libertines)』は全英1位となり、このシングルも全英2位となった。

アメリカ勢ばかりが人気のガレージ・ロック・リヴァイヴァル・シーンの中、英国バンドとして孤軍奮闘し、まさに人気絶頂だった彼らだったが、しかし、ピート・ドハーティの度重なる問題行動やドラッグ癖によってバンドは継続できず、この年に惜しまれながら解散してしまった。

キーン/エヴリバディーズ・チェンジング
Keane – Everybody’s Changing

Hopes & Fears

イギリスのバンド、キーンは、ヴォーカルとキーボードとドラムの3人編成という、ロックバンドとしてはめずらしい、弦楽器のいないバンドとして話題になった。

この曲は1stアルバム『ホープス・アンド・フィアーズ』からのシングルで、全英4位のヒットとなった。良い曲だ。新しいロック、ではまったくないだろうけれども、とにかくただただ、歌メロがしっかりと書かれた、人を感動させる良い歌だ。

結局この年、イギリスで最も売れたアルバムになったのも当然と頷ける。

「エヴリバディーズ・チェンジング」の過去記事はこちら

アーケイド・ファイア/ウェイク・アップ
Arcade Fire – Wake Up

FUNERAL [CD]

カナダのモントリオール出身の、7人編成の大所帯バンドだ。ヴォーカル、ギター、ベース、ドラム以外に、ヴァイオリン、アコーディオン、パーカッション、キーボードがいる。プログレというほど複雑でも実験的でもないが、クラシカル風味のサウンドとフリースタイルみたいな楽曲が新鮮なバンドだった。

1stアルバム『フューネラル』は各国の音楽マスコミで高く評価され、この年のベスト・アルバムに選出された。

「ウェイク・アップ」の過去記事はこちら

ザ・キラーズ/ミスター・ブライトサイド
The Killers – Mr. Brightside

Hot Fuss

ニューウェイヴ/ポスト・パンク・リヴァイヴァル風で、パッと見はイギリスのバンドかと思うが、米ラスベガス出身のバンドだ。

バンド名をニュー・オーダーの「クリスタル」のPVに出てくる架空バンドの名前から取っているところからも、本人たちもやはりイギリスを意識してるのは間違いないだろう。

この曲はデビュー・シングルで、全米10位、全英10位のヒットとなった。

マイ・ケミカル・ロマンス/アイム・ノット・オーケイ
My Chemical Romance – I’m Not Okay (I Promise)

Three Cheers for Sweet Revenge [12 inch Analog]

米ニュージャージー州出身のマイ・ケミカル・ロマンスの2ndでメジャー・デビュー・アルバムとなった『スウィート・リベンジ』からのシングル。このアルバムによって彼らは世界的なブレイクを果たした。

当初はエモやポップ・パンクにカテゴライズされていたが、アルバムを聴けば彼らの音楽性はもっと幅広いものだとわかる。

グリーン・デイ/ブールヴァード・オブ・ブロークン・ドリームス
Green Day – Boulevard Of Broken Dreams

American Idiot [12 inch Analog]

ブレイクを果たしてから10年目となったグリーン・デイの7枚目のアルバム『アメリカン・イディオット』はその内容の素晴らしさによって、初めての全米1位、全英1位、世界中のチャートで1位を獲得し、1,500万枚を売り上げる大ヒットとなった。

グラミー賞の「最優秀ロック・アルバム賞」も受賞したが、00年代を代表する名盤であることはもちろん、ロック史に残る名盤のひとつにも数えられるだろう。
彼らがここまで成長するとは思わなかったなあ。

「ブールヴァード・オブ・ブロークン・ドリームス」の過去記事はこちら

U2/ヴァーティゴ
U2 – Vertigo

ハウ・トゥ・ディスマントル・アン・アトミック・ボム

11枚目のアルバム『原子爆弾解体新書〜ハウ・トゥ・ディスマントル・アン・アトミック・ボム』からのシングルで、iPodのCMにも使われて、世界的なヒットとなったU2の代表曲のひとつ。

彼らも当時すでに40代半ばで充分にオッサンだったが、いつまでもこういうパンク精神みたいなところを忘れないことに嬉しくなったものだった。わたしもU2で最も好きな曲のひとつだ。

「ヴァーティゴ」の過去記事はこちら

はじめてのU2【名曲10選】の過去記事はこちら

選んだ10曲がぶっ続けで聴けるYouTubeのプレイリストを作成しましたので、ご利用ください。

♪YouTubeプレイリスト⇒ ヒストリー・オブ・ロック2004【甦る80年代】Greatest 10 Songs

また、apple musicのプレイリストとしても作成済みです。
apple musicをご利用の方はこちらのリンクからプレイリストにジャンプできます。

ヒストリー・オブ・ロック2004【甦る80年代】Greatest 10 Songs (goromusic.com)

ぜひお楽しみください。

(by goro)

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