鮮明な音質が嬉しい、初期ストーンズのリアルドキュメント【ストーンズの60年を聴き倒す】#15

On Air (Deluxe)

『On Air』(2017)
The Rolling Stones

『オン・エアー』は2017年にリリースされたアルバムだ。

ストーンズが1963〜65年にかけて出演したBBCのラジオ番組《サタデー・クラブ》《トップ・ギアー》《リズム・アンド・ブルース》などに出演した際のスタジオライヴを収録したものだ。

すでにお気づきの方も多いと思うけれども、わたしはこの連載記事の順番を、レコードのリリース順ではなく、録音年代の順で進めている。そのほうがストーンズの成長や変化、時代の空気が感じられるのではないかと思うからだ。

『オン・エアー』は通常版(18曲入り)とデラックス版(32曲入り)の2種がリリースされていて、今回取り上げるのはもちろんデラックス版の方である。

CD 1

1. カム・オン Come On
2. サティスファクション (I Can’t Get No) Satisfaction
3. ロール・オーヴァー・ベートーヴェン Roll Over Beethoven⭐️
4. クモとハエ The Spider And The Fly
5. コップス・アンド・ロバーズ Cops And Robbers⭐️

6. イッツ・オール・オーヴァー・ナウ It’s All Over Now

7. ルート66 Route 66
8. メンフィス・テネシー Memphis, Tennessee⭐️
9. ダウン・ザ・ロード・アピース Down The Road Apiece
10. ラスト・タイム The Last Time

11. クライ・トゥ・ミー Cry To Me
12. マーシー・マーシー Mercy, Mercy
13. オー・ベイビー Oh! Baby (We Got A Good Thing Goin’)
14. アラウンド・アンド・アラウンド Around And Around
15. ハイ・ヒール・スニーカーズ Hi Heel Sneakers⭐️

16. ファニー・メイ Fannie Mae⭐️
17. ユー・ベター・ムーヴ・オン You Better Move On
18. モナ Mona


CD2


1. 彼氏になりたい I Wanna Be Your Man
2. かわいいキャロル Carol
3. アイム・ムーヴィング・オン I’m moving On
4. イフ・ユー・ニード・ミー If You Need Me

5. ウォーキング・ザ・ドッグ Walking The Dog
6. コンフェッシン・ザ・ブルース Confessin’ The Blues
7. エヴリバディ・ニーズ・サムバディ・トゥ・ラヴ Everybody Needs Somebody To Love
8. リトル・バイ・リトル Little By Little
9. エイント・ザット・ラヴィング・ユー・ベイビー Ain’t That Loving You Baby⭐️
10. ビューティフル・デライラ Beautiful Delilah⭐️

11. クラッキン・アップ Crackin’ Up
12. アイ・キャント・ビー・サティスファイド I Can’t Be Satisfied
13. 恋をしようよ I Just Want to Make Love To You
14. 南ミシガン通り2120 2120 South Michigan Avenue

番組も年代もバラバラの音源が集められているため、音質もそれぞれではあるが、概ね良好で聴きやすい。なんなら当時のストーンズのレコードよりも音質の良いものもあるし、中にはステレオ録音のものまである。「ルート66」や「モナ」が鮮明なステレオ録音で聴ける日が来るとは思ってもみなかった。

アレンジは基本的にレコードのオリジナルに忠実で、演奏のクオリティもレコード並のものが大半だ。意外だったので感心してしまった。

初期のレパートリーがクリアなライヴ・バージョンで聴けるのも楽しいが、なにより嬉しいのは、これまでレコードに収録されたことがなかったカバー曲が7曲収録されていることだ(⭐️印)。

中でもわたしの好きなチャック・ベリーの名曲「メンフィス・テネシー」が入っているのも嬉しい驚きだし、「ロールオーヴァー・ベートーヴェン」も、ビートルズよりラフだが、ストーンズらしいスピード感があっていい。

ストーンズ入門用ではないが、コアなストーンズ・ファンには間違いなくお薦めできるアルバムだ。

それにしても、音が生々しいせいもあって、聴いているとなんだか60年代にタイムスリップしてラジオを聴いているような気分になる。英国の白人の若者たちが米国の黒人の音楽を演奏するという、社会文化的にも画期的だった新しい音楽〈ロック〉が誕生していく様がラジオから日常的に流れてくる。さぞかし刺激と興奮に満ちた日々だったに違いない。没頭して聴いてみれば、その興奮を追体験しているような気持ちも味わえる。かもしれない。

(Goro)

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