ザ・ローリング・ストーンズ/ノー・エクスペクテーションズ(1968)

ベガーズ・バンケット

ザ・ローリング・ストーンズ
【100グレイテスト・ソングス】#18
The Rolling Stones – No Expectations

今日、7月3日は、ストーンズをストーンズたらしめたリーダー、ブライアン・ジョーンズの命日だ。

1962年、20歳のブライアン・ジョーンズがジャズ・クラブでエルモア・ジェイムスの「ダスト・マイ・ブルーム」を演奏しているのを、観客として来ていたミックとキースが聴いて惚れ込んだときにザ・ローリング・ストーンズは転がり始め、ロックの歴史もミシミシと音を立てて動き始めたのだった。

初期ストーンズの音楽スタイルはブライアンによって作られたものだが、バンドのビジュアルイメージにもまた、ひとりだけ金髪で、学者のようにも悪魔のようにも見える顔立ちの彼は、重要な役割を果たしていたと思う。
初期ストーンズが危うく偽ビートルズみたいにならずに、まあ好みにもよるけど、ビートルズより圧倒的にロック的なカッコ良さを音楽的にもイメージ的にも備えていたのは、ブライアンがいたことが最大の要因だろう。

しかし60年代が終わる頃にはすでに重度の薬物依存に陥り、レコーディングにも参加しなくなったブライアンは、1969年6月に、ミックとキースからストーンズを脱退することを勧められ、それを受け入れた。
そしてその4週間後、49年前の今日、彼は自宅のプールで死んでいるのを発見された。
死因ははっきりしていないが、アルコールとドラッグを伴った事故死とされている。

この「ノー・エクスペクテーションズ」は1968年のアルバム『ベガーズ・バンケット』収録曲だ。

ミックは「マジで100%打ち込んでるブライアンを見たのは、「ノー・エクスペクテーションズ」が最後だった」と振り返っている。
(出典:ウィキペディア)

ブライアンはこの曲でも、最初の出会いでミックとキースが惚れ込んだ、スライド・ギターを弾いている。

まるで荒れ果てた精神の中で、まだ唯一灯っている風前の炎が、美しく揺らいでいるようにも聴こえる。

わたしは、この世が理不尽すぎるのか、わたしが間違っているのか、ときどきわからなくなるけれども、そんなときにこの曲を聴いて波立つ気持ちを静めたくなる。

この曲を聴きながら思いに耽ると、実在するのは大地と海と川と風だけで、わたしを含めたすべての生き物は明滅する光のような一瞬の存在にしかすぎず、そう思うと、不安に慄いたり、怒りや悲しみで心を震わせることなども、なんだかもう、どうでもよくなってくるのである。

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