No.430 ザ・ビートルズ/アクロス・ザ・ユニバース (1969)

Let It Be
≪オールタイム・グレイテスト・ソング 500≫ その430
The Beatles – Across the Universe

ビートルズ時代の曲なのでレノン&マッカートニー名義ではあるけど、実際にはジョン・レノンが書いた曲だ。
山ほどあるジョンの名曲の中でも、この曲のメロディの美しさはまた格別である。

68年の初め頃に録音されていたものを、翌年の世界自然保護基金のチャリティーとして発売されたコンピレーションLP『NO ONES GONNA CHANGE OUR WORLD』に収録される形で発表されたのがオリジナル・バージョンだ。
このバージョンは後にビートルズの『パスト・マスターズ』にも収録されている、冒頭に鳥の羽ばたきの音が入っているやつだ。

『レット・イット・ビー』にも収録されているが、あれはアルバムのプロデューサー、フィル・スペクターがテープの回転を遅くして女性コーラスとオーケストラを入れたもので、キーが半音低くなっている。

わたしはオリジナル至上主義ではないので、どっちのほうがより美しく、より面白いかだけなのだけど、フィル・スペクターのオーバー・プロデュースによって奇しくも、なんだかビートルズにもロックにも疲れたジョンの哀しみと無力感と虚しい希望の歌のように聴こえる、『レット・イット・ビー』バージョンのほうが好みかもしれない。
最初に聴いたのがこっちだから、というのもあるだろう。

サビの「僕の世界を変えられるものなんて無いんだ」という歌詞は、まあ一般の社会人ならそんなに頑固なのもどうかと思うけど、生涯にわたって、純真で無敵な少年のようだったジョン・レノンらしくて、いいと思う。

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コメント

  1. ごろー より:

    わかってもらえて嬉しいです
    原曲を聴いて「これを遅くしよう」と考えたフィル・スペクターも凄いなと思いますね。
    フィオナ・アップルのバージョンはわたしも好きです。

  2. フー太郎 より:

    ここにきてまさかのビートルズ!
    私もこの曲が大好きで、オーバープロデュースも悪くないというかむしろ必然だったのではないかと思う位です。カバーだとデヴィッドボウイ・フィオナアップル・宇多田ヒカル・元oasisのリアムギャラガー等がありますが、個人的にはフィオナのバージョンが好きです。