どーも、『ロックの快楽』の執筆者、人生旅から旅のゴローです。
わたしがスマッシング・パンプキンズの音楽に出会ったのはあの夢のような1991年、米国のオルタナティヴ・ロックと英国のインディ・シーンがリンクしながら同時にムーヴメントとなって活況を呈し、次々と名盤が生まれ、ロックの新時代を告げた年だった。
1977年のパンク・ムーヴメントはまだ幼過ぎて体験することが出来なかったわたしにとっては、初めてのロックの熱い盛り上がりに、人生で最も興奮気味に生きていた時代だった。
そんな、名盤が続出した1991年に、わたしは彼らの1stアルバム『ギッシュ(Gish)』に出会った。
米オルタナティヴ・ロックの他のバンドに比べても、圧倒的なクオリティの高さとオリジナリティは群を抜いていて、わたしは「90年代のツェッペリンだ!」と思ったものだった(ツェッペリンにはそんなに詳しくないのでテキトーだけど)。
その後も彼らは、アルバムを出すたびに進化し、新しいロックのスタイルやサウンドを提示してくれた。
今回、あらためてスマパンを聴き返して、正直、もう30年も前から聴いていると飽きていたりもするけれど、それでも今聴いてもやっぱりいいなあと思える名曲を、ランキングにしてみた。
以下は、わたくしゴローが心から愛するスマッシング・パンプキンズの名曲ベストテンである。
I Am One
インディー・レーベルから発表した、彼らのデビュー・シングル。
翌年発表の1stアルバム『ギッシュ』のオープニング・ナンバーとなり、わたしは「どれどれ、どんな新人バンドかな」とCDをかけた瞬間にブッ飛んでそのまま後ろにでんぐり返ったものだった。
デビュー・シングルからもうすでにスマパン・グルーヴは完成されていたのだった。
新人がいきなりオールスター戦出場みたいな、超オルタナ級だった。
Travels
2018年発表の、どこまでが本題かよくわからない『シャイニー・アンド・オー・ソー・ブライト VOL.1 / LP:ノー・パスト、ノー・フューチャー、ノー・サン』という長ったらしいタイトルのアルバムの収録曲。
ぶっちゃけ、98年の『アドア』以降、今ひとつわたしにはわからないアルバムが続いていたけれど、このアルバムは好きだ。
再結成ものにありがちな、昔やってたことをなぞっただけで目新しさも無ければ覇気もない退屈な代物ではなく、良い曲を書き、新しいスタイルにもチャレンジした、生き生きとした佳曲揃いのアルバムである。「全盛期の1枚」と言われてもおかしくないほどだ。
ダーシーがいないので、グルーヴの感じは違うが、バラエティに富んだ楽曲で補っている感じだ。この曲はスマパンにはめずらしい、明るくてポップな曲である。
またビリーの声が若い頃から全然変わらないのが凄い。
Bullet with Butterfly Wings
全米1位となった3rdアルバム『メロンコリーそして終りのない悲しみ』からのシングル。全米22位。
これが出たときは、2枚組という大作にまず驚き、さらに全米1位になったと聞いたときはなんかの間違いじゃないかと思ったほどだった。もう、びっくらこいたというほかなかった。
オルタナティヴ・ロックがアンダーグラウンドなものだった時代は終わったのだなあと、良いことに決まってるのだけれども、ちょっとだけ寂しくも思った。
Disarm
2ndアルバム『サイアミーズ・ドリーム』収録の、シリアスなバラード。
「僕の中の殺人者は、君の中の殺人者。この微笑みを君に送るよ」と歌う、ビリーのちょっとヤバいところが出た曲。
ていうか、もともとスマパンのそういうところがいいのだけど。
わたしは彼らのアルバムではこの2ndがいちばん好きだ。
Siva
スマパンはインディ・レーベルからシングルを2枚出した後、1991年5月に1stアルバム『ギッシュ』でメジャー・デビューした。この曲はそのアルバムからのシングルである。
オルタナ系らしからぬ、高度な技術と楽曲の高い完成度、4人の息がぴったり合った精密なグルーヴに圧倒されたものだ。
Cherub Rock
2nd『サイアミーズ・ドリーム』のオープニングを飾る曲。
CDを聴き始めてもうこの1曲目で1stからの大きな飛躍と成長を感じ、アッと驚いてそのまま後方へでんぐり返ったほどだった。
実は1stの『ギッシュ』は、めちゃくちゃ評価が高かったにもかかわらず、あまり売れず(全米146位)「次が正念場だ」と、ビリーもメンバーも必死だったらしい。
結果は全米10位という、特大ヒットに。めでたし、めでたし。
ZERO
『メロンコリーそして終りのない悲しみ』からのシングル。うねるようなギターとスマパンらしい一体感を感じるグルーヴが超カッコイイ。
このPVのダーシーの、またいつもと雰囲気の違う美しさがたまらない。
1979
『メロンコリーそして終りのない悲しみ』からのシングルで、全米12位と、彼らの最高位となった代表曲だ。
轟音ギターが封印された、シンプルで乾いたサウンドが新鮮だった。
わたしはこの曲がヒットした時に「ああ、もうグランジブームは終わったんだな」と、意外に速い、ロックシーンの移り変わりを実感したものだった。
Burry me
1st『ギッシュ』で完成させた、スマパン・グルーヴによる最高傑作。
わたしは1stではこの曲が1番好きだ。
動画は92年のレディング・フェスティヴァルの映像。
古い映像なので音はちょっと悪いけど、ビリーがギターの弦をブチ切りながら激しいパフォーマンスを繰り広げ、ダーシーは強靭なベースラインを弾きつつどこまでもクール・ビューティー、ドラムのジミーは最高にハイ・テンションだし、ジェームズは変な女装という、わたしの知る限りいちばんカッコいいスマパンのライヴ映像だ。
Today
『サイアミーズ・ドリーム』からのシングルで、米オルタナチャートで4位まで上昇した、彼らのブレイク作だ。あのグランジ・ブームを代表する1曲だった。
この光が明滅するような美しい響きのイントロ4小節を聴いただけで、一気に幸福だった1993年に連れ戻される。
なんて、当時はちっとも幸福だとは思っていなかっただろうけど、過ぎ去りし日々はなんだって幸福に思えてしまうものだ。
「今日は今までで最高の日。でも長くは続かないかもしれない。心が粉々になってしまうかもしれない」と歌う、半分病んだ心にも響く歌だ。
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