最初わたしはジャムをパンク・バンドだと認識していた。
ピストルズ、クラッシュ、そしてジャム、というのがわたしの3大ロンドン・パンクだと思っていて、いやジャムはモッズだよと言われても逆にピンと来なかった。
まあどっちでもいいと思う。ジャムはジャムだ。
パンク・ロックと一口に言ってもいろいろあって、人それぞれでまた好きなタイプも違う。
わたしにとってのパンク・ロックの定義は、まず歌メロが覚えやすく一緒に歌えること、余計なことやややこしいことでごまかさず、勢いがあってシンプルなサウンドであること、ギターをちまちま弾かずコードを思いっきり鳴らすこと、そしてユーモアのセンスが感じられること、そのぐらいである。
この定義に合致していればわたしにとってはパンク・バンドであり、セックス・ピストルズ、ラモーンズ、ダムド、クラッシュなどはもちろん、ニルヴァーナやグリーン・デイ、ハイロウズも立派なパンク・バンドであるし、ジャムだってそうなのだ。
ちなみにわたしはハードコア・パンクと呼ばれる音楽は全然好きではない。あれはある意味パンクのプログレみたいなもので、創造ではなく解体や解剖を目指しているためオリジナリティが感じられず、また考えすぎのためユーモアのセンスも感じられない。
ラモーンズのようにデビューから解散まで不変のパンクロック・バンドではなく、ジャムはアルバムを出すたびに音楽性の幅を広げていった。
1977年のファーストと1982年のラスト・アルバムは、たった5年しか経っていないにもかかわらず、同じバンドとは思えないほど音楽性が違う。
ファーストはそれこそパンク・ロックだが、ラストの『ギフト』はR&B/ファンク系の音楽である。
ただしジャムが最後まで不変だったのはその優れたポップ・センスで、それはシングル盤で最も凝縮された形で彼らの真髄が発揮されたと思う。
彼らのシングルは素晴らしく完成度が高く、オリジナリティがあり、こういう仕事は中途半端な才能と自己満足のことしか考えていないアーティストには決して真似出来ない、本物のプロフェッショナルなアーティストの仕事である。
だからわたしはジャムはオリジナル・アルバムよりもシングル集やベスト盤を好むのである。
わたしはこのブログでもよくベスト盤を選出するが、わたしにとってはオリジナル・アルバムも編集盤も同じ「音盤」ということに差はなく、同列で比較して選んでいるだけである。
逆に、ベスト盤が良いのはあたりまえなどとはまったく思っていない。
ここでこのアルバムを選んだのも、ジャムの数あるCDの中から、わたしが最も良いと思う内容の音盤を選んだらそれがたまたま編集盤だったということにすぎない。
この『コンパクト・スナップ!』は発売当時からよく聴いた。
デビュー曲の「イン・ザ・シティ」からラスト・シングルの「ビート・サレンダー」まで、年代順に曲が並んでいるという、ベスト盤としては理想の構成になっているので、ジャムの不変のポップ・センスと、変化していった音楽性が共に楽しめる。
ジャムは3人なのがいい。
ロック・バンドは3人がいちばん絵になる。
コメント
ダーシー抜きのスマパンにもガッカリだったが…
r-blues氏へ
そう、わたしもNHK-FMにはずいぶんお世話になったものだ。
子供心にも、ふつうに売ってるものをこんなふうに全部カセットテープに録れちゃっていいの?みたいな嬉しいのとちょっと後ろめたいのとを感じていたのを思い出す。しかもそれが公共放送なもんだから余計に、ほんとにいいの?と逆に公共放送の立場を心配したものだ。
それにNHK-FMは他のおしゃべりな民放FMのDJと違って、「それでは5曲続けてお聴きください」などと曲を紹介した後、充分に間をとってから音楽が始まるんだよねえ。こちらが録音ボタンを押すタイミングをちゃんと配慮してくれているようで嬉しかった。
フェイク・アニへ
いやはや。まだ生きてるのに、抜きって…。
ついでに
ポール・ウェラー抜きのジャムってのも存在するらしいぜ。いやはや。
ポール・ウェラーと私
拝啓、ポール兄貴。お元気ですか?
今年で御歳50になるんですね。マドンナとタメだとは、なんだかビックリしました。
思えば僕が初めてジャムを聴いたのは「サウンド・アフェクト」の1曲目「プリティー・グリーン」でした。あのベース→ドラム→そして兄貴のクールな渋声へと続く行(くだり)に心底ヤラレてから、もう20年以上経つんですね。イタイケな少年をイバラの道にひきづり込んだコノ曲は、未だに僕のフェイバリット・ソングです。
ジャム~スタカン~ソロと、常に迷いの無い音を出し続ける兄貴。御身体には気をつけて、ますますのご活躍を心よりお祈りしております。
お先に>Fake兄
>ジャムは3人なのがいい。ロック・バンドは3人がいちばんカッコ良く、絵になる。
The JAMを見ると同感です。
私が”The JAM”を聴いたのは「悪意という名の街」が英国チャートにのぼった頃で、興味を持って「ザ・ギフト」全曲をエアチェックして聞き込みました。当時のNHK-FMはアルバム全曲を「はい録音してね」という風によく放送してたモノです。アルバム買えないガキには有り難かった。
“The JAM”は、あの削り出しの真鍮のようなソリッドなサウンド、アレがたまらないですね。
特にPaul Wellerのギターが凄い。あの神経質なリズムと、ねいろ…それは「ザ・スタイルカウンシル」でも見受けられましたが、それ以降はヤメちゃいましたね。
“OASIS”のアルバムにもよく参加されてるようですが、言われないと気づかないです。
“Heavey Soul”は久しぶりに悪くなかったけど、
やはり今、The Jamのようなカラっと乾いたソリッドなサウンドの作品を作って欲しいです。
彼にはできるし、それイケルと思うんだけどなぁ、今。