No.493 レイザーライト/アメリカ (2006)

Razorlight
≪オールタイム・グレイテスト・ソング 500≫ その493
Razorlight – America

2003年にデビューした、ロンドン出身のバンドだ。
この曲は彼らの2ndアルバムからシングルカットされ、全英1位の大ヒットとなった、彼らの代表曲だ。

退屈してどこかへ出かけても
また帰ってくるだけ
眠れなくてタバコに火をつけるけど
TVやラジオなんてまったく面白くもない

生まれてからずっと、アメリカを見つめてた
そのアメリカで混乱が起きている
そのアメリカでトラブルが起きている
(written by Johnny Borrell, Andy Burrow)

結局イギリス人は、ビートルズやストーンズの時代から、このレイザーライトの世代になってもずっと、アメリカの音楽や文化に、憧れを抱き続けているのだろうか。

ブリティッシュ・ロックというものは結局、アメリカのブルースやカントリーといったルーツ・ミュージックに憧れ、真似続けたところから始まっているし、だから極端に言えば、イギリス人がアメリカに憧れを抱かなくなったら、その時点でロックという音楽は終了するとわたしは思う。
ロックとは、イギリス人にとっても日本人にとっても、そしてアメリカの若者たちにとっても、古き良き、”自由の国アメリカ”への憧れによって生まれる音楽なのかもしれない。

ロックが衰退してきたのも、アメリカという国がいろんな意味で弱ってきているからかもしれない。無条件で憧れるにはあまりに問題は多く、闇は深い。
レイザーライトはそのアメリカへの憧れをあけすけに告白し、しかしアメリカが弱っていることに困惑し、哀しんでいるのかもしれない。

われわれ日本人も、戦後はその強くて華やかな文化を持つアメリカに憧れ続けてきたと思うけど、80年代以降、その憧れは徐々に衰えていったように思う。

わたしは、なぜかわからないけど自分の国の音楽よりアメリカの音楽を好きになってしまったし、アメリカ映画も山ほど見たし、実は小説もアメリカの作家を特に好んで読んだ。ヘミングウェイ、フォークナー、ヘンリー・ミラー、サリンジャー、カート・ヴォネガット、ジョン・アーヴィング、レイモンド・カーヴァー、チャールズ・ブコウスキー……。

アメリカが大好きだ、なんて一度も考えたことはなかったけれど、わたしもどっぷりアメリカ漬けのピクルスみたいになって生きてきたに違いない。

だから、レイザーライトが歌っている気持ちも、21世紀になってどんどんロックを聴く若者が少なくなっていくことも、よく理解できるのだ。

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