ザ・スミス/ゼア・イズ・ア・ライト(1986)

ザ・クイーン・イズ・デッド

【80年代ロックの快楽】
There Is a Light That Never Goes Out

songwriters : Morrissey, Johnny Marr

ザ・スミスの3rdアルバム、『クイーン・イズ・デッド』収録曲。

楽曲のクオリティもセールスも絶頂期の1986年に発表された、スミスの最高傑作だ。
この曲はそんな名盤のハイライトだ。

何度でも口づさみたくなるメロディ、ストリングスのせつなく美しいアレンジ、そして生涯忘れられないワンシーンのように、魂を揺さぶり、心に刻みつけられる歌詞。
いつ聴いても、喉の奥からなにか固く尖ったものが込み上げてきて、涙腺を刺激する。

主人公(男性でも女性でもどちらでもいい)は、家には居場所がなく、たぶん社会のどこにも居場所がない。

たぶん恋人ではないけれど、唯一の心を許せる相手に、「車で連れて行ってほしい。ネオンが輝いて、若者たちがいる楽しそうなところへ」と頼む。自分には帰る場所はないから、と。

そしてサビは、こんな歌詞だ。

もしも2階建てバスが僕らの車に突っ込んできたら
きみの傍で死ねるなんて、最高に素敵な死に方だな
もしも10tトラックが僕ら2人を轢き殺したら
きみの傍で死ねるなんて、最高に幸せだよ

愛に飢え、居場所を失い、未来を見失った、絶望的に孤独な若者の、魂の叫びだ。

リア充にはわからんだろうな。

帰る場所がない、なんて気持ちは、絶対にわからんだろうな。

和訳付きの動画があった(製作者に感謝!)ので、リア充さま以外の、心に癒えないグジュグジュの傷を抱えたまま、七転八倒しながら懸命に生きている人々に捧げたい。

もしかすると、「自分だけじゃないんだ!」と思えるかもしれない。

そんな風に、スミスの音楽が生きる力になった人々が世界中に存在する。