名盤100選 50 キング・クリムゾン『クリムゾン・キングの宮殿』(1969)

クリムゾン・キングの宮殿 デビュー40周年記念エディション完全限定盤 ボックス・セット

このアルバムは1969年に発表されたキング・クリムゾンのファースト・アルバムである。
ビートルズの『アビイロード』と同年で、ある記者が「デビューアルバムが『アビイロード』をトップから引きずり降ろした」と書いたことが有名になったが、これは嘘で、実際には5位どまりであったらしい。

知らない人のために一応説明しておくと、キング・クリムゾンはプログレッシヴ・ロックというジャンルの扉を開いたバンドとされている。
プログレッシヴ・ロックとは、3分間のポップソングに飽き足らず、1曲10分や20分はあたりまえ、ジャズやクラシックの要素も取り入れ、変拍子や超絶技巧的な演奏が繰り広げられる難解で前衛的な音楽で、やる方は大変に違いないが、聴いているほうはまあどちらかというと退屈しがちである。

いや、まあ好みの問題ではあるが。

前回のデイヴ・エドモンズのロカビリーなどとは対極にあるこの『クリムゾン・キングの宮殿』という怪物のような音楽もわたしは好きだ。
わたしのストライクゾーンは自分でも変態ではないかと思うぐらい広い。

最初に聴いたときは衝撃的だった。
技術的には洗練されているのだろうが、音楽的にはオランウータンたちの月夜の決闘のような求愛のような、なんだかわからない大騒動だ。
せっかく楽器が弾けてロックが出来るのに、これではモテないだろうなあ、と思った。
モテないことをあえてやるなんてカルチャーショックで、わたしは衝撃を受けたのだった。

そしてこのジャケである。
ロック史上最もインパクトの強いジャケである。
ジャケは知ってるが中身は聴いたことがなく、聴いてみたいかと言われたらいやちょっと遠慮しときますというアルバム、というアンケートをとったら、このアルバムが1位になるのではないかと思う。

しかしマジメな話、このアルバムがもしこのジャケでなくても、これほど有名になっていただろうか? これほど「名盤」として聴き続けられていただろうか?
ノー、だと思う。
このアルバムはまずこのジャケありきである。
わたしだってこのジャケのインパクトがあったからこそ、プログレッシヴ・ロックという敷居の高いジャンルでありながら、聴いてみたいと思ったのだ。
変態ですからね。

わたしが「怪物のような音楽」と言うのも、このジャケットと音楽をごっちゃにした印象なのかもしれない。
でもそれでいい。
レコードというものはジャケと盤がセットになった商品であって、ジャケットと音楽をごっちゃにしてイメージを膨らませて楽しむのがふつうのレコードの楽しみかただからだ。

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コメント

  1. r-blues より:

    ♥️