リンダ・ロンシュタット/ヒート・ウェイヴ(1975)

Prisoners in Disguise

【カバーの快楽】
Linda Ronstadt – Heat Wave

75年のアルバム『哀しみのプリズナー(Prisoner in Disguise)』収録曲。

このアルバムからのシングル、ニール・ヤング作のカントリー・ナンバー「バラのいたずら(Love is a Rose)」のB面としてリリースされたが、ラジオのDJたちはこのB面のほうを好んで取り上げ、全米5位の大ヒットになったという。

「ヒート・ウェイヴ」はモータウンの黄金時代を築いたソングライター・チーム、ホーランド=ドジャー=ホーランドの3人によって製作され、1963年にマーサ&ザ・ヴァンデラスが歌って全米4位の大ヒットとなった名曲だ。

その後、ザ・フー、ザ・ジャム、フィル・コリンズなどがカバーし、ブルース・スプリングスティーンもライヴのレパートリーにするなど、ロック・ファンにもよく知られ、愛されている曲だ。

フーとジャムのバージョンも滅法カッコいいが、リンダ版はアレンジもいいし、終わり近くのブレイクでの「イェイイェイ、イェイイェイ!」のシャウトがいちばんカッコいいのは圧倒的にリンダだ。
やっぱりカバー・ソングをやらせたら右に出る者がいないなあと、あらためて思うほどだ。

そんなリンダもすでに74歳。時が経つのは早いものだ。

わたし自身もいつまで経っても鏡の中のオッサンに慣れなくて困る。わたしを置いて、時がどんどん先へ先へと進んで行ってしまう感じだ。弱っちゃうな。

リンダ・ロンシュタットはパーキンソン病を患い、すでに歌手生活からは引退している。

2014年にロックの殿堂入りを果たし、昨年はアメリカの優れた芸術家に贈られる、ケネディ・センター名誉賞も贈られた。

彼女は授賞式に出席し、そのときの記念写真も公開されている。
若い頃の面影がはっきりと残った、とてもチャーミングなオバちゃんになっていたのが嬉しかった。

ケネディ・センター名誉賞受賞式にて(前列左から2人目がリンダ)2019年

↓ ザ・フーのバージョン。

↓ ザ・ジャムのバージョン。

↓ マーサ&ザ・ヴァンデラスのオリジナル。