イーグルス/ニュー・キッド・イン・タウン(1976)

Hotel California [12 inch Analog]

【70年代ロックの快楽】
Eagles – New Kid in Town

1976年の名盤『ホテル・カリフォルニア(Hotel California)』からの第1弾シングルで、全米1位の大ヒットとなった。

イーグルスが得意とするアコースティック・サウンドと美しいコーラスによるカントリー・ロック・スタイルだが、この曲にもアルバム全体に通底する「ひとつの時代の終わり」の寂しげな虚脱感が覆う。

思えばイーグルスは、1972年のデビュー・シングル「テイク・イット・イージー」から、時代を映したリアルなロックとして、アメリカで最も熱狂的な支持を集めたロック・バンドだった。このアルバム『ホテル・カリフォルニア』もまた、正確に時代の移り変わりを映していたから、当時の若者たちの共感を得たのだろう。

「街に新たな若者がやってきた」と歌うこの歌は、ラヴソングを装いながら、音楽業界のことも仄めかしている、と作者のひとりであるドン・ヘンリーは語っている。

グレン・フライはコンサートで「この曲はホール&オーツに捧げたものだ」と当人たちが来ている前で言ったそうだが、当時の彼らの斬新な音楽に、新しい時代の波が来ているのを感じたのだろう。

なにしろ「おれたちの時代のロックはもう終わった。次の世代の番だ」と歌ってるようなものなのだから、こんな寂しい歌もない。
「新たな若者」を歓迎するわけでもなく、憎むわけでもない、抗うわけでもなくただ現実を受け入れる、感情が複雑過ぎて虚無的にすら聴こえる曲調が、それまでの古典的なカントリー・ロックとはひと味違う、ロック色が色濃く出たオリジナリティあふれる楽曲になっていると思う。

初めて聴いたときはそのタイトルと、やけに憂鬱そうな雰囲気から、街に若いギャング団がやってきた、みたいな歌なのかと思ったが、まあたしかにこの後台頭してくるのはパンク・ロックなので、当たらずとも遠からずだったと言えなくもない。

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