セイント・エティエンヌ/オンリー・ラヴ・キャン・ブレイク・ユア・ハート(1990)

フォックスベース・アルファ(デラックス・エディション)(リマスター)

【カバーの快楽】
Saint Etienne – Only Love Can Break Your Heart

セイント・エティエンヌはロンドン出身で、女子ヴォーカルと、2人の男子キーボードという編成だった。

60~70年代のレトロ・ポップス風の楽曲や、クラブ系のダンス・ミュージック的なものを、シンセと打ち込みで演奏(?)している。

この曲はニール・ヤングの1970年のヒット曲のカバーだ。

原曲は3拍子でアコースティック中心のサウンドだが、これを4拍子に変えて当時流行していたハウス・ミュージック風にアレンジして粉砕し、あの美しいオリジナルの良さを跡形もなくしたカバーである。

セイント・エティエンヌのデビュー・シングルとしてリリースされると、クラブ・シーンで支持され、全英39位、米ダンス・チャートではなんと1位という大ヒットを記録した。

男子2人で結成して間もなくのことだったため、当時はまだヴォーカリストがいなかった状態で、ゲスト・ヴォーカルとしてフェイス・オーヴァー・リーズンのモイラ・ランバート嬢が歌っており、この曲の後で、正式なヴォーカリスト、サラ・クラックネル嬢が加入する。彼女は後から入ったにも関わらず、なぜかグループのリーダーとなった。

しかし残念ながら、ヒットしてしまったせいでニール・ヤング本人の耳にもこのカバーが届いてしまったらしい。当然というか、彼はこのカバー・バージョンをとても嫌ったそうだ。

わたしは、最新流行のおしゃれなクラブ系とやらにしてはやけにダサいカバーだな、と思った。きっとクラブ系の人たちというのは本当はダサい人種なのだろう、と思った。

なのにわたしのCDラックにはこのCDが未だにあり、久しぶりに聴いてみたら懐かしくてノリノリで踊っちゃったりもして、ホントにわたしときたら、なんだかよくわかんないなあと思う。

↓ ニール・ヤングのオリジナル。