マニック・ストリート・プリーチャーズ/ラスト・クリスマス(2003)

Lipstick Traces-Limited

【カバーの快楽】
Manic Street Preachers – Last Christmas

イギリスのエンターテインメント・ショー番組、『TFI Friday』出演時のジェームスの弾き語りによる、ワムの大ヒット曲のカバーだ。

ワムとは対極にあるようなバンド、マニックスのジェームスが、あの世界一有名なクリスマス・ソングをカバーするなんて、と思って面白半分の気持ちで聴いてみたら、これがなんとも素晴らしい。

たったの2分ほどの演奏だけれど、この歌声を聴くとやっぱりジェームスって、音楽に対して広く深い愛情を持つ、真摯で心優しいアーティストなんだな、などと感じ、またまた惚れ直してしまった。

マニックスはデビュー当時、グランジやシューゲイザーなどの轟音ギターが流行していた時代に、ちょっと王道すぎるパンク&ハード・ロック的なサウンドだった上に、ビッグ・マウスの悪ガキ風イメージという時代錯誤な登場の仕方だったから好きになれなかったのだけど、そのマイナス・イメージからスタートした後の、彼らの成長を窺わせるような名曲のリリースや、メンバーが失踪しながらも真摯に頑張ってる姿に、あらためて見直し、そして惚れ直して、っていうのを繰り返してるうちに、今では大好きなバンドになってしまった。

なぜか愛おしく思えるバンドなのだ。もうその存在自体が「泣けるバンド」みたいな。

今年の冬はずっとマニックスを聴いていた。あの当時の彼らはたぶん、セックス・ピストルズ以降最高のロックンロール・バンドだったんだな、なんて思いながらまた惚れ直して。

このカバー・トラックは、2003年にリリースされた、マニックスのアルバム未収録曲やカバー・ソングを集めた編集アルバム『リップスティック・トレイス』に収録されている。

↓ ワムのオリジナル。

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