レッド・ホット・チリ・ペッパーズ/ハイヤー・グラウンド(1989)

Mother's Milk [Explicit]

【カバーの快楽】
Red Hot Chili Peppers – Higher Ground

レッチリの4枚目のアルバム『母乳(Mother’s Milk)』からのシングルで、スティーヴィー・ワンダーのカバーだ。米オルタナ・チャート11位、全英54位と、彼らにとっては初めてのチャート・イン・シングルとなった。

このアルバムからギターのジョン・フルシアンテとドラムのチャド・スミスが加入して最強ラインナップとなっている。

レッチリには短期間のものも含めると計9人のギタリストが入れ替わっているそうだが、わたしにとってのレッチリのギタリストはやっぱりフルシアンテだ。

ジョン・フルシアンテは、15歳のときにレッチリのライヴを観て夢中になり、レッチリのすべての曲のギターとベースと歌詞を暗記したという。

そして88年にオリジナル・メンバーのギタリスト、ヒレル・スロヴァクが死去し、替わりにフルシアンテが加入することになった。それが18歳のフルシアンテにとって、初めてのバンド経験だった。

アルバム『母乳』の制作は、そんなフルシアンテにとって最初の仕事になったが、ヘヴィ・メタル的なアプローチにしようとするプロデューサーのマイケル・バインホーンと、それを嫌ったメンバーの間でアレンジやマスタリング、アプローチ等をめぐって対立し、激しい言い争いが繰り返されたという。
フルシアンテも、彼が弾いたこともないメタル風のプレイを要求され、プロデューサーと激しくやり合ったそうだ。
制作は難航し、アルバムは完成したものの、これをきっかけにレコード会社もEMIからワーナーへ移籍することになった。

この「ハイヤー・グラウンド」のようなメタリックなサウンドとアプローチは、その後のレッチリではあまり聴かれなくなったが、あらためて今聴くとこれはこれで新鮮でカッコいい。

この後ワーナーヘ移籍したレッチリは、名プロデューサー、リック・ルービンのもとであの強靭かつしなやかなレッチリ・サウンドを完成させたアルバム『ブラッド・シュガー・セックス・マジック』で世界的な大ブレイクを果たすことになる。

↓ スティーヴィー・ワンダー1973年のオリジナル。

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