はじめてのレナード・コーエン【必聴名曲5選】5 LEONARD COHEN Songs to Listen to First

Essential Leonard Cohen

カナダのモントリオール出身のレナード・コーエンは、13歳の頃からギターを弾き始め、1950年代には地元のカフェでカントリーなどを演奏していたが、60年代になると詩人・小説家としてカナダで知られるようになる。

そして、ボブ・ディランやブルース・スプリングスティーンを世に出したことでも知られるコロムビア・レコードのプロデューサー、ジョン・ハモンドに見いだされ、1967年、シンガー・ソングライターとして最初のアルバムをリリースした。デビュー当時33歳と、歌手としては遅咲きのレコード・デビューだった。

わたしは20代の頃に彼の初期のベスト盤を手に入れ、その抒情的でありながらどこか乾いた響きの楽曲と、呟くようでもあり、祈りを捧げるようでもある、独特の味わいのあるヴォーカルに魅せられて、何十年ものあいだ繰り返し聴いたものだった。

「カナダのボブ・ディラン」と呼ばれることもあったが(彼はディランより7歳年上なのだけど)、イギリスのポップスやフランスのシャンソンを思わせるようなところもある音楽性は、かつてはイギリスとフランスの植民地であり、現在も英語と仏語の両方が公用語というカナダの文化的立ち位置を表しているようでもある。レコードもイギリスやフランスでよく売れた。

彼はもともとユダヤ教徒であったが、仏教にも深い興味を持ち、62歳のときには僧侶になっている。宗教的・哲学的な内容の歌も多い。
80歳を過ぎても歌い続けたが、2016年に82歳で死去した。彼をリスペクトするアーティストは数多い。

以下はわたしがお薦めする、最初に聴くべきレナード・コーエンの至極の名曲5選です。

スザンヌ(1967)
Suzanne

レナード・コーエンのデビュー・シングルで、フランスではシングル・チャート3位のヒットとなった。
これぞレナード・コーエンと言うべき、素朴だが真摯な感情を伝え、心の深い部分が共鳴するような、味わい深い歌だ。

「スザンヌ」の過去記事はこちら

ソー・ロング、マリアンヌ(1967)
So Long, Marianne

1stアルバム『レナード・コーエンの唄(Songs of Leonard Cohen)』からのシングルで、フランスでのみ28位に上昇した。

この曲のモデルとなった「マリアンヌ」は、60年代初頭にコーエンが訪れたギリシャの島で出会った実在の女性だ。
彼女は「恋人兼ミューズ(芸術の女神)」と呼ばれたほど、レナード・コーエンに多くの作品を書かせる原動力となったという。
この曲はそんな彼女に別れを告げる内容となっている。

「ソー・ロング、マリアンヌ」の過去記事はこちら

バード・オン・ワイヤー(1969)
Bird on the Wire

2ndアルバム『ソングス・フォー・ア・ルーム(Songs from a Room)』からのシングル。

「電線の上の鳥のように、真夜中に大合唱する酔っぱらいたちのように、わたしは自由になる方法を探したんだ」と歌う、詩的でどこか崇高な美しさを感じる、コーエンの代表曲のひとつだ。

「バード・オン・ワイヤー」の過去記事はこちら

フー・バイ・ファイア(1974)
Who By Fire

4thアルバム『ニュー・スキン・フォー・ザ・オールド・セレモニー(New Skin for the Old Ceremony)』収録曲。

ユダヤ教の祈祷文を元に作られた歌なのだそうだ。レナード・コーエンはユダヤ教徒の家庭に育ち、後に禅宗の僧侶になった。

直訳すれば「誰かは火で、誰かは水で、誰かは太陽の下で、誰かは夜中に」と、人の死に方を列挙していく歌だ。「誰かは食べ過ぎて、誰かは飢えて」「誰かは下着姿で」「誰かは鏡の中で」なんていうのもある。聴きながら、ついついおれはどうやって死ぬのかななんて考えてしまう。
一緒に歌っている女性は、同じくユダヤ教徒のシンガー・ソングライター、ジャニス・イアンだ。

ハレルヤ(1984)
Hallelujah

7枚目のアルバム『哀しみのダンス(Various Positions)』からのシングルで、カナダで17位、フランスで1位と、彼にとって最も売れたシングルとなった。

また、ボブ・ディラン、ジョン・ケイル、ジェフ・バックリィなどもカバーが話題になり、広く知られるようになった代表曲だ。

選んだ5曲が続けて聴けるYouTubeプレイリストを作成しましたので、ご利用ください。

♪プレイリスト⇒ はじめてのレナード・コーエン【必聴名曲5選】はこちら

また、apple musicのプレイリストとしても作成済みです。
apple musicをご利用の方はこちらのリンクからプレイリストにジャンプできます。

はじめてのレナード・コーエン【必聴名曲5選】5 Leonard Cohen Songs to Listen to First (goromusic.com)

ぜひお楽しみください。

入門用にレナード・コーエンのアルバムを最初に聴くなら、キャリアを総括したベストよりも、わたしも30年以上愛聴した初期のベスト盤『エッセンシャル・レナード・コーエン(Best Of Leonard Cohen)』をやっぱりお薦めしたい。

(by goro)

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