【ディランのアルバム全部聴いてみた】『ジョン・ウェズリー・ハーディング』(1967)

JOHN WESLEY HARDING [12 inch Analog]

【ディランのアルバム全部聴いてみた 9枚目】
“John Wesley Harding”

これはいいな。すごくいい。
だいたいディランのアルバムは1曲目から力の入ったものが多いのだけれど、これは肩の力が抜けていていい。ああ、これを選んでよかったな、という気分になる。

これも若い頃にLPで買って持ってるけれども、若い頃は前作の『ブロンド・オン・ブロンド』の10分の1ぐらいしか聴かなかったと思う。

『ブロンド・オン・ブロンド』はその名の通り完成を極めた黄金のサウンドが聴けるけれども、このアルバムは一転して、ディランのアコギとハーモニカ、そしてベース、ドラム、たまにスティール・ギターというシンプルなアレンジに戻っている。エレキギターも入ってないし、ハモンド・オルガンも入ってない。黄金ではなく、モノクロのサウンドだ。

若い頃はこのアレンジが地味でつまらないと思ったのだろう。でも、あらためて聴いてみると、このモノクロサウンドの味わいは格別だ。

2~3分の短い曲がほとんどを占めてるのもまたいい。曲も充実しているし、永遠に聴いてられると思うほどだ。
ディラン26歳の時のアルバムである。全米2位、全英1位の大ヒットとなった。

そしてアルバムのハイライトはもちろん「見張り塔からずっと」だ。
何万回聴いても飽きないカッコ良さ。エレキなしの、アコギで奏でられるロックンロールは鮮烈だ。ジミ・ヘンドリックスのエレクトリック・バージョンもカッコいいけど、わたしはこのオリジナルのほうがもっと好きだな。

ディランは『ブロンド・オン・ブロンド』のリリース直後、1966年7月にバイク事故で重傷を負った。ケガは数カ月で完治したが、その後1年ほど活動を停止し、隠遁生活を送っていたのだ。このアルバムは彼の復帰作ということになった。

ジャケは旅の途中で出会ったネイティヴ・アメリカンの人たちと記念撮影、みたいな趣だ。
ディランの表情は「やあ久しぶりに戻って来たけど、もうロックスターには戻らないからね。四六時中注目されるのも追っかけられるのもうんざりなんだ。だからカントリーをやることにしたよ。どうせ君たちはまたそれも批判するんだろうけど」みたいな感じかな。

↓ アルバムの1曲目「ジョン・ウェズリー・ハーディング( John Wesley Harding)」

↓ 「見張り塔からずっと(All Along the Watchtower)」

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