【ディランのアルバム全部聴いてみた】『セイヴド』(1980)

Saved

【ディランのアルバム全部聴いてみた 25枚目】
Bob Dylan “Saved”

怖いジャケットだ。
あんまり日本人の世界観にはない感じだからそう思うのかな。

ディラン39歳のアルバムは、ジャケットからも一目瞭然のように、前作からさらに宗教の深みにはまった内容で、オープニングはまさに教会における牧師と信者のコール・アンド・レスポンスのようなゴスペル・ナンバーから始まる。

その宗教的なイメージの濃いジャケットや内容も災いしてか、売り上げは全米24位と低迷。前作が全米3位だったことを考えると急激な落ち込みだ。

わたしは十代のときにディランを聴き始め、それはすべて当時の「貸しレコード店」で借りたものだったのだけれど、その店に置いてある数枚のディランのアルバム(近作のみだった)を片っ端から借りていったものの、このアルバムだけは借りずじまいだった。なんとなく、ジャケが怖すぎて。

だからこのアルバムを聴いたのは今回が初めてだ。

でもタイトル曲の「セイヴド」なんかはスピード感と熱狂感があってなかなか良い。今にもブルース・ブラザーズが出てきて踊り出しそうな曲だ。

「コヴィナント・ウーマン」なんかも美しい曲だ。
録音も前作に引き続き、力強くて情感溢れる良い音がしている。「ソリッド・ロック」なんかも、疾走感のある16ビートがカッコいい。「プレッシング・オン」も良い曲だ。

わたしはこのアルバムは、全然嫌いじゃない。

わたしは歌詞をあまりちゃんと読んだりしないので、このアルバムの宗教的な内容も気にならない。ソウルやゴスペルの要素を取り入れてみたんだな、いいぞディラン、ぐらいにしか思わない。

きっと当時のディランも、いかにもディランというスタイルのものに飽きていたのではないか。

この時期のライヴは、前作の『スロー・トレイン・カミング』とこのアルバムからの曲という宗教的な内容の歌のみで構成され、代表曲も一切演奏せず、MCもディランによる説法のみだったという。

当然ライヴは大不評で、北部の都市ではどんどん客が入らなくなっていたらしいが、中西部や南部では好評を博して、新たに黒人のファンもついたという。

↓ 「セイヴド(Saved)」

↓ 「コヴィナント・ウーマン(Covenant Woman)」

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