【ディランのアルバム全部聴いてみた】『バイオグラフ』(1985)

Biograph (3 Cds in Double Jewel Case)

【ディランのアルバム全部聴いてみた 30枚目】
Bob Dylan “Biograph”

当時5枚組LPとして発表された、全53曲収録のボックス・セットだ。

これまでのディランの足跡をたどる内容には違いないだろうが、1stから1981年の『ショット・オブ・ラヴ』までのアルバムからのベスト的な選曲が31曲、そして22曲が未発表曲や未収録テイクであり、しかも曲順は年代順というわけでもない。

ちょうどディランの幻のデビュー・シングル(なんとバンド付き!)「ゴチャマゼの混乱(Mixed-Up Confusion)」という曲も収録されているが、これをタイトルにしてもよかったような、そんな内容である。

でも、これが意外と面白いのだ。

よく知った名曲と初めて聴く新鮮な曲の混ぜ合わせが、こちらの聴き進めたい気持ちを持続させる、ちょうどよい具合なのだ。おかげて53曲一気に楽しんでしまった。
未発表曲の中にも良いものが結構あり、『欲望』のときに録音したけれども残念ながら収録されなかったという「アバンダンド・ラヴ」なんかは親しみやすい曲で、すぐに好きになった。

5枚組のボックス・セットという当時は珍しい試みのレコードだったにもかかわらず全米33位は、よく売れたということだったらしい。

ディランをほぼ初めて聴くという人には薦められないけれど、ファンには楽しいセットだと思う。長いドライヴのときなんかに聴きたいな。

↓ 1962年に1stシングルとしてリリースされた「ゴチャマゼの混乱」。バンドを付けたことがディランのイメージに合わないとして早々に回収され、幻のシングルとなった。

↓ 『欲望』に収録されなかった「アバンダンド・ラヴ(Abandoned Love)」。

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