【ディランのアルバム全部聴いてみた】『ブートレッグ・シリーズ第1〜3集』(1991)

The Bootleg Series Volumes 1

【ディランのアルバム全部聴いてみた 36枚目】
Bob Dylan “The Bootleg Series Volumes 1–3 (Rare & Unreleased) 1961–1991”

デビューから1989年の『オー・マーシー』までの、録音したもののアルバムに入りきらなかった未発表曲や、有名曲の別バージョンなどを集めて年代順に並べた、CD3枚組58曲から成るレア音源集だ。

長年、海賊盤の氾濫に悩まされたディランやレコード会社が、根本的な対抗策として、海賊版と同じ音源を公式にリリースして、海賊盤の価値を失くしてしまおうというのがこのブートレッグ・シリーズのコンセプトである。

これが出たときのインパクトは凄かった。ずいぶん大きな話題なったものだった。ついに噂のお宝が一般公開された、みたいな。確かにファンにとっては垂涎のお宝だったのだろう。

まずジャケットがカッコイイな。初期のディランのアルバムはジャケのカッコいいものが多かったけれども、80年代あたりはそうでもなかったので、余計インパクトがあった。ジャケを見ただけで欲しいと思ったほどだった(買わなかったけど)。

有名曲のアウトテイクなどというものはわたしはあまり惹かれないけれども、アルバムから洩れたという未発表曲には、「ブラインド・ウィリー・マクテル」という名曲や、そのままシングル・カットできそうな「ウェン・ザ・ナイト・カムズ・フォーリング・フロム・ザ・スカイ」などクオリティの高い曲や、『オー・マーシー』のアウトテイクで、たぶんあまりにU2感が強すぎたからお蔵入りになったんだろうなと想像できる「シリーズ・オブ・ドリームズ」など、いろいろ面白いものもあったりして盛りだくさんの内容だ。

ブートレッグ・シリーズと言ってももちろん公式版なので音質も良好だ。普通のレコードと変わらない。
曲は録音年代順に収録されていて、ちょうど前半が60年代前半の弾き語り作品、後半がバンド付きということで、バランスよく楽しめる。
ディランの歴史を、裏側から辿っているような気分になる。

今日はずっとイヤホンでこのアルバムを聴きながら、家の大掃除をした。
最近は絶不調時代のディランの、魂のこもっていない抜け殻のような歌声ばかり聴きながらこのブログを書いていたので、若い頃の、勢いのある瑞々しい歌声や、感情豊かで魂のこもった歌声が久しぶりに聴けて、良い気分で掃除が出来た。

みなさま、良いお年を。

↓ 『インフィデル』のときに録音されたもののお蔵入りになった曲。なぜ収録しなかったのか不思議なほどの名曲「ブラインド・ウィリー・マクテル(Blind Willie McTell)」

↓ 『オー・マーシー』のときに録音されたもののお蔵入りになった「まるでU2!」な「シリーズ・オブ・ドリームズ(Series of Dreams)」。

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