ヒストリー・オブ・ロック 1963【ロックンロールの逆襲】Greatest 10 Songs

Please Please Me (Original Recording Remastered) [12 inch Analog]

1963

この年の3月、たった1日で録音したと言われるビートルズの奇跡の1stアルバム『プリーズ・プリーズ・ミー』がリリースされ、30週連続で全英1位の座に居座り続けた。
それにしても30週間連続1位とは恐れ入る。それほど圧倒的なレコードだったのだろう。ビートルズ一択の時代。当時の若者たちはそれはもう気がふれるほど聴いたに違いない。そしてこのアルバムを1位の座から下ろしたのも、11月にリリースされたビートルズの次作『ウィズ・ザ・ビートルズ』なのだ。

アメリカで誕生し、一度は死に絶えたと思われたロックンロールは、ゆっくりと大西洋を渡ってイギリスで奇跡の復活を遂げた。そしてこのイギリスの地から世界に向かって、ロックンロールの逆襲が始まる。

アメリカでも西海岸で流行していたサーフ・ミュージックにロックンロールの復活の要素は見られたが、東海岸ではさらに先を行く新たな展開を見せ、音楽界に革命が起こりつつあった。ボブ・ディランの登場である。

彼のルーツ・ミュージックを継承したスタイルと文学的な歌詞がロックに与えた影響は計り知れないものがある。本質的にダンス・ミュージックであったロックンロールが、ダンス・ミュージックではなくなり、”ロック”と名を変えてアートのひとつとして認められていくことになったのは彼の影響なくしては語れないのだ。

この年の米国社会ではマーティン・ルーサー・キング牧師らが率いて20万人以上が参加した人種差別撤廃が求めるワシントン大行進が行われた。ベトナムでは戦火が拡大し、そしてケネディ大統領が暗殺されるという衝撃的な事件も起こった。アメリカの歴史を暗い影が覆い、時代が動きつつあることも、生まれたばかりのロックの方向性に影響を与えていった。

そんな激動の1963年の名曲10選です。

ザ・ビートルズ/シー・ラヴズ・ユー
The Beatles – She Loves You

The Beatles – She Loves You (1964, MO - Monarch Pressing, Vinyl) - Discogs

開始1秒で、時空を突破して胸を貫き、全身をビリビリバリバリと感電させるほどのインパクトだ。本当に凄いビートルズの曲ってこういう曲なんだろうなとあらためて思う。イギリスでは7週連続1位となり、ビートルズのシングルの中では最も売れた曲となった。アメリカでも全米1位となっている。

「シー・ラヴズ・ユー」の過去記事はこちら

ザ・ビートルズ/抱きしめたい
The Beatles – I Want to Hold Your Hand

The Beatles – I Want To Hold Your Hand (1963, Vinyl) - Discogs

イギリスでは5枚目のシングルだが、日本では初めて発売されたビートルズのシングルがこの曲だったので、当時の日本のファンには特に思い入れが強い曲だろう。わたしはまだ生まれていなかったのが悔しくてならない。これをあの時代に初めて聴くとてつもない衝撃と感動をリアルタイムで感じてみたかった。
イギリスでは5週連続1位、アメリカでは7週連続1位のビッグ・ヒットとなった。

ザ・ビーチ・ボーイズ/サーフィンU.S.A.
The Beach Boys – Surfin’ USA

サーフィン・U.S.A. +1

全米3位の大ヒットとなったビーチ・ボーイズの大出世シングル。折からの米西海岸での”サーフィン&ホッドロッド”ブームの象徴ともなった曲だ。
チャック・ベリーの「スウィート・リトル・シックスティーン」のパクり改作とも言えるが、わたしは両方とも好きだ。

「サーフィンU.S.A.」の過去記事はこちら

ジャン&ディーン/サーフ・シティ
Jan and Dean – Surf City

サーフ・シティ

L.A.出身のジャンとディーンのデュオによる曲で、こちらも”サーフィン&ホッドロッド”ブームの波に乗って全米1位の大ヒットとなった。
「まんまビーチ・ボーイズじゃん!」と思うのも当然で、ビーチ・ボーイズのブライアン・ウィルソンが提供した曲に、ジャンが歌詞を付けたのだ。それにしてもいい曲あげちゃったなあ。

ザ・キングスメン/ルイ・ルイ
The Kingsmen – Louie Louie

In Person

原曲は1957年にリチャード・ベリー&ザ・ファラオズが発表した曲だ。
ザ・キングスメンはオレゴン州のバンドで、このシングルは地元のスタジオを50ドルで1時間だけ借りてワンテイクで録音したものだ。音質も悪く、ギター・ソロによる間奏の終わりを間違えてヴォーカルが一瞬歌い出してしまうところまでそのまま収録されたレコードとなってしまった。
当初はまったく売れなかったが、ボストンのDJが「今週の最低レコード」としてラジオで紹介すると一気に火が点き、なんと全米2位まで昇る大ヒットとなったのだ。
その後はガレージ・ロックの祖として多くのカバーも生まれるロックの名曲となった。何がどうなるかわからんもんである。

ザ・ロネッツ/ビー・マイ・ベイビー
The Ronettes – Be My Baby

Presenting the Fabulous Ronettes Featuring Veronica

ニューヨーク出身のガール・グループ、ザ・ロネッツのブ代表曲で、全米2位、全英4位の大ヒットとなった。
プロデューサーのフィル・スペクターが発明した、何重にもダビングを重ねて深いエコーに包まれたような”ウォール・オブ・サウンド”の代表曲としても有名だ。

「ビー・マイ・ベイビー」の過去記事はこちら

マーサ&ザ・ヴァンデラス/ヒート・ウェイヴ
Martha & The Vandellas – Heat Wave

ヒート・ウェイヴ

モータウンからデビューしたヴァンデラスのブレイク作で、全米4位の大ヒットとなった。ポップでありながらもビートの強いサウンド、パンチの効いたヴォーカルがカッコいい。
3人組のソングライターチーム、ホーランド=ドジャー=ホーランドの初ホームランであり、この曲によって”モータウン・サウンド”が確立されたとも言われる。

「ヒート・ウェイヴ」の過去記事はこちら

マーヴィン・ゲイ/恋のあかし
Marvin Gaye – Can I get a Witness

Can I Get A Witness

さらにマーヴィン・ゲイがデビューすると、モータウンはさらに勢いを増す。この曲もモータウンの屋台骨を支えたホーランド=ドジャー=ホーランドの作品で、金管のリフレインが印象的で心躍らされる曲だ。初期のローリング・ストーンズもカバーしている。

はじめてのマーヴィン・ゲイ【必聴名曲5選】はこちら

ピーター・ポール&マリー/パフ
Peter, Paul and Mary – Puff, the Magic Dragon

(Moving) [12 inch Analog]

前年にデビューして東海岸のフォーク・ブームを牽引したグループ、ピーター・ポール&マリーの代表曲で、全米2位の大ヒットとなった。
公民権運動や反戦運動に積極的だったグループだったため、この曲もベトナム戦争への批判を暗示したものとして解釈されることもあったが、作者のピーターは否定し、「他意はなく、子供の成長の歌だ」と語っている。

ボブ・ディラン/風に吹かれて
Bob Dylan – Blowing In The Wind

フリーホイーリン・ボブ・ディラン

その後のロックに最も影響を与えた名曲のひとつと言っても過言ではないだろう。ボブ・ディラン、21歳の名曲だ。
彼の、聴くものの想像力を刺激する深い歌詞、心に響くメロディは、ロックを変えることになる。ボブ・ディランの存在がなければ、ロックンロールは流行のダンス・ミュージックとして、短い命を終えていたのではないかとさえ思うほどだ。

「風に吹かれて」の過去記事はこちら

選んだ10曲がぶっ続けで聴けるYouTubeのプレイリストを作成しましたので、ご利用ください。

♪YouTubeプレイリスト⇒ヒストリー・オブ・ロック 1963【ロックンロールの逆襲!】Greatest 10 Songs

また、apple musicのプレイリストとしても作成済みです。
apple musicをご利用の方はこちらのリンクからプレイリストにジャンプできます。

ヒストリー・オブ・ロック 1963【ロックンロールの逆襲!】Greatest 10 Songs (goromusic.com)

ぜひお楽しみください。

(by goro)

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