ヒストリー・オブ・ロック 2000【20世紀ロックの極限】Greatest 10 Songs

Parachutes

2000

2000年というのは21世紀最初の年ではなくて、20世紀最後の年なのだ、厳密に言うと。
20世紀で、若者に最も大きな影響を与えたカルチャーと言えるロックという音楽が、行き着くとこまで来た、進化の最終形態、極限の姿がこの年のロックというわけだ。

英国では当時天下人だったレディオヘッドが問題作『キッドA』を発表し、ロックの最終形態を晒し、シーンに大きなショックを与えた。もはやロックバンドでもない、そのロックの骸骨のような哀れな姿は、まさに壊れかけのレディオヘッドだった。

しかし、壊れるものあれば生まれるものあり。この年に出現した英国の大きな希望はコールドプレイだっただろう。20世紀のお祭り騒ぎのあとに残された寂しい荒地のような英国ロックシーンに、心を癒す音楽が届けられた。しかしそれは、新しい時代が始まるファンファーレというよりは、時代の終わりを告げるレクイエムのようでもあった。

米国ではヘヴィ・ロックの全盛期となった。ヒップホップもメタルもオルタナもすべて飲み込み、重量級に膨張したミクスチャー・サウンドは商業的にも大成功し、これも来るとこまで来た20世紀ロックの極限の姿と言えるだろう。

以下はそんな2000年のシーンから選んだ10組10曲です。

あと、このヒストリー・オブ・ロックのシリーズですが、最初の構想では20世紀だけで終えようと思ったのですが、ここで終わるとなんだかロックが終わっちゃったみたいな哀しい結末になりそうなので、もう少し続けます。あと5回ほど。

レディオヘッド/エヴリシング・イン・イッツ・ライト・プレイス
Radiohead – Everything in Its Right Place

Kid A

英国ロックの天下を獲った前作『OKコンピューター』から3年、全世界待望の4thアルバム『キッドA』は、衝撃と困惑によって迎えられた。

レディヘは壊れたな、とわたしは思った。

全編実験的な作品であり、たしかに美しい瞬間も多いが、もはやあの、熱くて、カッコよくて、滅法楽しい、「ロック」という音楽とは似ても似つかないものである。

これをレディヘの最高傑作に挙げるイキった人もいるようだが、わたしはさすがにそこまでは思わないものの、面白いアルバムではあるし、虚無的でありながら、しなやかで鋭く、決して晦渋・鈍重ではない。

レディヘのアルバムの中では5番目ぐらいだけど、この年にリリースされたアルバムの中では一番好きかもしれない。

なんだ、結構好きじゃん。

レディオヘッド【名曲ベストテン】の過去記事はこちら

コールドプレイ/イエロー
Coldplay – Yellow

Parachutes

ロンドン出身のコールドプレイは、この2ndシングル「イエロー」によって、世界的なブレイクを果たした。この曲を収録した1stアルバム『パラシューツ』は全英1位を獲得し、全世界で900万枚を売る大ヒットとなった。

わたしもこの曲には、久しぶりに激しく心を動かされた。レディオヘッドが壊れた今、次に英国ロックの天下人となるのはこのコールドプレイだな、と思ったものだった(結局、なったような、ならなかったような)。

「イエロー」の過去記事はこちら

U2/ビューティフル・デイ
U2 – Beautiful Day

All That You Can't.. -Hq- [12 inch Analog]

そうはいっても、ロック世界一の王座に君臨しているのはいまだに俺たちだろう、と言わんばかりの9thアルバム『オール・ザット・ユー・キャント・リーヴ・ビハインド』で全英1位、全米3位、オリコン6位と世界的なヒットとなり、楽曲はグラミー賞7部門を制覇し、格の違いを見せつけたのがU2だ。

90年代はダンスビートなど実験的な作風が多かっただけに、この曲は久々の原点回帰と歓迎された。

はじめてのU2【名曲10選】の過去記事はこちら

バッドリー・ドローン・ボーイ/その角をもうひと曲がり
Badly Drawn Boy – Once Around the Block

The Hour of Bewilderbeast [12 inch Analog]

英マンチェスターのシンガー・ソングライター、バッドリー・ドローン・ボーイは、アメリカのロー・ファイ勢などに影響を受け、宅録で内省的な良い意味でとっ散らかった変幻自在の音楽世界を創り上げていった。

この曲は彼の1stアルバム『ジ・アワー・オブ・ビウィルダー・ビースト』からの独創的なシングルだ。

ベル・アンド・セバスチャン/トゥー・マッチ・ラヴ
Belle and Sebastian – There’s Too Much Love

Fold Your Hands Child, You Walk Like a Peasant

スコットランド出身の、ベル・アンド・セバスチャンの4thアルバム『私のなかの悪魔(Fold Your Hands Child, You Walk Like a Peasant)』収録曲。

いかにもスコットランドらしい、ネオアコやローファイの系譜を感じるどこか爽やかな脱力系ポップ・グループで、特にこの曲がわたしは好きだ。

曲の後半で、ヴォーカルからストリングスへと主役が交替していくところなんかたまらないな。

アット・ザ・ドライヴ・イン/ワン・アームド・シザー
At The Drive In – One Armed Scissor

Relationship Of Command

米テキサス出身のエモ系バンド、アット・ザ・ドライヴ・インのメジャー・デビュー作にしてラスト・アルバム『リレーションシップ・オブ・コマンド』からのシングル。

当時のラウド・ロックの流行にも乗ってこの曲でブレイクしたものの、翌年には方向性の違いから解散してしまう。

デフトーンズ/チェンジ(イン・ザ・ハウス・オブ・フライズ)
Deftones – Change (In The House Of Flies)

White Pony

米カリフォルニア出身のオルタナティヴ・メタルバンドの3rdアルバム『ホワイト・ポニー』からのシングル。

ヘヴィ・ロックの流行にも乗り、アルバムは全米3位の大ヒットとなった。

リンプ・ビズキット/テイク・ア・ルック・アラウンド
Limp bizkit – Take a look around

Chocolate Starfish & The Hot Dog Flavored Water

ヘヴィ・ロックの流行を牽引したリンプ・ビズキットの3rd『チョコレート・スターフィッシュ・アンド・ザ・ホットドッグ・フレイヴァード・ウォーター』からのシングルで、映画『M:I-2』のエンディング・テーマとして使用された。

前作よりさらに完成度を高め、商業的な意味でも隙のないアルバムとなり、全米1位、全英1位を獲得し、全世界で1,200万枚以上のセールスを記録した。

リンキン・パーク/イン・ジ・エンド
Linkin Park – In The End

Hybrid Theory (Special Edition)

L.A.出身のリンキン・パークは、ヘヴィなロック・サウンドにラップを乗せるラップ・メタルの最終兵器としてシーンに登場し、1stアルバム『ハイブリッド・セオリー』の完成度の高さとキャッチーさで強烈なインパクトを与え、いきなり大ブレイクした。

アルバムは全米2位を記録し、全世界で3,000万枚以上を売り上げるメガ・ヒットとなった。現在まで、21世紀で最も売れたロックバンドとされている。

マドンナ/アメリカン・パイ
Madonna – American Pie

アメリカン・パイ(リチャード“ハンプティ”ヴィジョン・ヴィジッツ・マドンナ)

マドンナ主演の映画『2番目に幸せなこと』のサウンドトラックとして使用された曲で、ドン・マクリーンのあの名曲のカバーだ。

その出来の素晴らしさに当時は大きな話題になったものの、なぜかマドンナのオリジナル・アルバムにもベスト盤にも収録されていない。

この曲でのマドンナの歌声は、ロックへの深い愛情やリスペクトを感じる、女神のように優しく美しい心に沁みる歌声で、実はわたしはこの曲がマドンナの中で一番好きなのだ。

「アメリカン・パイ」の過去記事はこちら

マドンナ【名曲ベストテン】の過去記事はこちら

選んだ10曲がぶっ続けで聴けるYouTubeのプレイリストを作成しましたので、ご利用ください。

♪YouTubeプレイリスト⇒ ヒストリー・オブ・ロック 2000【20世紀ロックの極限】Greatest 10 Songs

また、apple musicのプレイリストとしても作成済みです。
apple musicをご利用の方はこちらのリンクからプレイリストにジャンプできます。

ヒストリー・オブ・ロック 2000【20世紀ロックの極限】Greatest 10 Songs  (goromusic.com)

ぜひお楽しみください。

(by goro)

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする