【きょうの余談】わたしの純国産オールド・オーディオたち

はじめに言っておくと、わたしはオーディオマニアではない。
壊れでもしない限りオーディオを買い替えることはしないし、今も古いオーディオ機器を何十年と使い続けている。

でも、できれば安くて音の良い機械で音楽を聴きたいという欲の深さは忘れたことがない。
今回は、いつもわたしが音楽を聴くのに使っているそんなオールド・オーディオたちを紹介することにしよう。

わたしは現在、サブスク(apple music)で音楽を主に聴いている。PCと、iPhoneのそれぞれを同じアカウントで。そこはオールドではないのだが、それを聴く装置がオールドなのだ。

自室のオーディオはPCに繋がっている。PCに光デジタル音声出力端子があるので、CDプレーヤーの光デジタル音声入力端子にケーブルで繋いでいる。PCの音楽ソフト、iTunesの再生ボタンをクリックすると、オーディオのスピーカーから音楽が流れる仕組みだ。CDやレコードは、ほぼ聴かなくなった。ブログの記事を書くときに、サブスク解禁されていない音源を聴く必要があるときなどにたまに引っ張り出してくるぐらいだ。

apple musicの音楽ファイルはロスレスになっているので、圧縮していない、CDと同じ音質で聴ける。このブログなんて、サブスクがなければまず成立しないブログだったと思う。月額1,080円なんて、ラーメンと炒飯のセットぐらいのものである。安いものだ。

写真のPCは日本HP製で、2010年に買ったもの。もう13年も使っている。人間の年齢で言うと90歳ぐらいではないか。音楽を聴くために使っているiTunesが重たくてしょうがない。すぐにフリーズして、PCを再起動させなければならなくなる。起動も最近は素直にしてくれないときがある。側板を外して、冷却用のファンにたまった埃を掃除してやるとやっと動いてくれる。ほとんど介護状態だ。ブログ記事を書いている途中で突然なんの予告もなくシャットダウンして仰天することもある。ヤバいのでそろそろ買い替えを検討しているところだ。

そんな虫の息のPCに繋がっているわたしの部屋のオーディオたちは、さらに年老いている。

いちばん新しいのはこのレコードプレーヤーだ。2016年に購入した。それでももう7年ぐらい経つのか。DENON製だが、まあ安物だ。2万円ぐらいだったと思う。

若い頃に使っていたレコードプレーヤーはとっくに壊れて、20年ぐらいはプレーヤー無しの状態だったのだけど、なんとなくまたレコードを聴いてみたくなって購入したのだ。
最近はレコード人気も再燃しているらしいが、当時は中古レコード店やハードオフなどでLPレコードが100円~500円ぐらいで叩き売られていて、結構良いものも買えたので、窮乏時代に売ってしまった懐かしいレコードたちを敵討ちのようにあちこち巡りながら買い直したりしたものだ。

その次に新しいのは写真上段のマランツのCDプレーヤー、SA-15S2だ。これは2008年のモデルなので、これももう15年ぐらいになるのか。もう。早いものだ。これは光デジタル音声入力を備えていたから選んだ。まあまあ高い。16万ぐらいした。わたしにも羽振りが良かった時代があったのだ。

写真下段のプリメインアンプは、サンスイのAU-α707XRで、1994年製だ。だからもう29年物。わたしはこれを中古で買った。それまで20年ぐらい使ってたアンプが壊れ、安易に安物のAVアンプに買い替えてみたらこれが音が貧弱すぎて大失敗、数か月後にハードオフだったかでたまたまこれを見つけ、7万円ぐらいで購入したのだ(定価は17万円)。これもマランツのCDプレーヤーと同じ頃だったはずなので、2008年だったと思う。

あのアンプの名門サンスイ様の高級オーディオなんて、わたしには一生縁のないものと思っていたが、十数年落ちの中古とはいえなんとかギリ手が届く値段で売られていたので飛びついたのだった。しかも当時すでにサンスイは経営不振で製造から撤退し、アフターサービス事業のみを細々と続けている状態だったので、これはサンスイが積み上げてきた歴史の最後のレガシーみたいなものだ。サンスイはその後倒産、消滅した。

わたしのオールド・オーディオの中でも最も古いのはこのヤマハのスピーカー、NS-1classicsで、1988年製だ。当時新品で左右合わせて、スタンドも入れて16万ほどだった。当時は20代前半で、給料1か月分ぐらいの大変な出費だったが、持ち前の無謀さと計画性のなさで思いきって買ったものだ。

ちょうど当時はクラシック音楽にハマっていたので、もっと本格的な良い音で聴きたいと思って、オーディオ雑誌なんかを読み込み、店頭で試聴もしてみて、決めたのだった。
もう35年も使い続けている。一度だけ右のスピーカーを修理してもらったことがあるものの、今も元気に鳴り続けている。

そういえば全部日本のメーカーの、純国産オーディオだな。

いちばん音が大きく変わったのはサンスイのアンプを繋いだときだった。もともとヤマハのスピーカーが良い音を鳴らしてくれていたのだけれど、さらに音像がひとまわり大きくなり、奥行きのある立体的な音になった。低音の弾力がまた最高だ。
今まで聴いたことのないステージの音だったので、興奮しながらいろんなジャンルの音楽を試してみたが、一番感動したのが、カーペンターズの「トップ・オブ・ザ・ワールド」を聴いてみた時のことだった。カレン・カーペンターが天からこの部屋に降りてきて目の前で歌いだしたような、その艶やかな声の質感や息継ぎの現実感に鳥肌が立つ思いだった。

わたしの部屋は、このオーディオたちと正対するように机が配置してあって、ブログを書くときはいつもPCのiTunesで選曲しながら、このオーディオたちを鳴らしている。いちいちCDを入れ替えに立ったりしなくていいので、楽なことこの上ない。未知の音楽も無限に聴くことができる。こんな理想の未来世界像そのままみたいな時代を生きることができてわたしは幸福だ。

きっと最新のオーディオはもっと良い音もするのだろうが、わたしはこのオールド・オーディオのどれひとつとして、完全に壊れるまでは買い替えるつもりはない。

最近ちょっとアンプの調子が悪い時があって、音が片側からしか出なかったり、音がビリついたりする。ソースの切り替えスイッチを何度かひねってやるとなぜか直ってちゃんと聴けるようになるものの、ちょっと心配だ。

わたしにとって基準になっている音でもあるので、できれば死ぬまでこのメンバーで音楽を聴き続けたいが、それでもどうしても寿命が来たら、次もやっぱり国産製品に替えて、純国産メナンバーのオーディオセットを維持したいものである。

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