ザ・ビートルズ『リボルバー』(1966)【わたしが選ぶ!最強ロック名盤500】#105

リボルバー (スペシャル・エディション(スーパー・デラックス))(SHM-CD)(5枚組)(ブックレット付)

⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️

【最強ロック名盤500】#105
The Beatles
“Revolver” (1966)

わたしがこの世に生まれる1ヶ月前、1966年8月にリリースされた、ビートルズの7枚目のアルバムである。

「まだ誰も作ったことのないようなアルバムを作るぞ!」という、漲る意欲を感じる。
しかし同時に、この時期にポールは「どこかで聴いたことのあるような曲を作りたい」という発言もしている。

その一見相反するような方向性が見事に両立していることに驚嘆させられる。

耳に馴染みやすい美しいメロディにあふれているが、実験的な音作りや遊び心にも溢れている。そして、ビートルズらしさは残しつつ、デビュー以来染みついた過剰にポップなアイドル臭は一掃され、当時のロックの最先端で余裕をかます、超絶クールなアルバムになっている。

ビートルズによるサイケデリック・アルバムと評されることがよくあるが、わたしはあまりそうは思わない。実験的な曲はあるけれども、アメリカのサイケデリックのような、トリップ感をイメージしたようなものとは違う気がするし、わたしの印象では、夢遊的ではなく、覚醒的である。

【オリジナルLP収録曲】

SIDE A

1 タックスマン
2 エリナー・リグビー
3 アイム・オンリー・スリーピング
4 ラヴ・ユー・トゥ
5 ヒア・ゼア・アンド・エヴリホエア
6 イエロー・サブマリン
7 シー・セッド・シー・セッド

SIDE B

1 グッド・デイ・サンシャイン
2 アンド・ユア・バード・キャン・シング
3 フォー・ノー・ワン
4 ドクター・ロバート
5 アイ・ウォント・トゥ・テル・ユー
6 ゴット・トゥ・ゲット・ユー・イントゥ・マイ・ライフ
7 トゥモロー・ネバー・ノウズ

本作からは、リンゴ・スターがリード・ヴォーカルを務めたA6「イエロー・サブマリン」がシングル・カットされた。全英1位、全米2位の大ヒットとなり、日本でも1982年に大瀧詠一のプロデュースで金沢明子による「イエロー・サブマリン音頭」が発売された。

その一風変わった曲想や歌詞を深読みして、ドラッグソングか、あるいはプロテストソングかとさまざまな憶測を読んだが、作者のポールは「ただの子供向けの歌だ」と説明している。

ジョージのA1「タックスマン」は当時の英国政府が富裕層に課した95%という異常な税率に対して異を唱えた、ビートルズにとって初めての政治批判ソングだ。ギターリフやベースライン、中間のギターソロなど、このアルバムの幕開けに相応しいクールで革新的な曲だ。

A2「エリナー・リグビー」はバンドなしの弦楽八重奏のみの伴奏となっているが、このストリングスが凄まじいキレ味でまるでバルトークの弦楽四重奏曲みたいなカッコ良さだ。

A3「アイム・オンリー・スリーピング」は、ジョンがこういう舌足らずみたいな、ラリって死にかけてるみたいな歌い方をし始めた最初の曲かなと思う。でもわたしはこの歌い方が結構気に入っている。

A5「ヒア・ゼア・アンド・エヴリホエア」とB3「フォー・ノー・ワン」はどちらもポールによるまったくロック的でない曲だが、どちらもわたしは好きだ。

でも結局いちばん好きなのはやっぱり最後のB7「トゥモロー・ネバー・ノウズ」だ。
テープを逆回転させたり、テープ・ループを使用したり、声や楽器を加工したりと、実験的な作品ではあるが、ひねくり回していじり倒してあるわりにはちゃんと音楽的で、カッコいい曲だなと思って気に入ってる。特にドラムパターンがカッコいい。

本作のレコーディングは6月下旬に終わり、その一週間後にはビートルズは武道館で来日公演を行なっている。3日間で5回の公演、セトリは全て同じだった。

わたしはこの記事のために『リボルバー』を繰り返し聴いていたので、ちょうどいいのでこの機会に武道館ライヴの映像をYouTubeで見てみることにした。わたしはこれを見るのは初めてである。

「ロックンロール・ミュージック」で始まる、全11曲30分のステージだった。
初期のワーキャー人気の頃のビートルズとそれほど変わらないイメージのライヴで、演奏もわりあいラフで、特別どうということもなかったのだけれども、ああ、これってもう『リボルバー』を作った後だったのかー、とちょっと違和感すら感じるほどだった。

本作の急進的でクールなイメージと、日本の婦女子の黄色いワーキャーを浴びてロックンロールをやっている姿が。

そのどっちもあったのがビートルズなんだな、とは思ったけれども。

↓ ポールによるA2「エリナー・リグビー」。この時期から、ポールがもはやどんどんロックから遠ざかっていくようなのが面白い。

↓ アルバムのラストを飾る傑作「トゥモロー・ネバー・ノウズ」。普通これだけいじり倒したらわけのわからん失敗曲になるのが常だが、これは普通にカッコよくて、音楽的なのが凄いと、何度聴いても感心する。

(Goro)

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