アイク&ティナ・ターナー『リヴァー・ディープ・マウンテン・ハイ』(1966)【わたしが選ぶ!最強ロック名盤500】#106

River Deep-Mountain High

⭐️⭐️⭐️

【最強ロック名盤500】#106
Ike & Tina Turner
“River Deep Mountain High” (1966)

昨年の5月に旅立ってしまったティナ姐さんだが、われわれの世代にとってはこの時代よりも、80年代に復活した頃の歌舞伎の連獅子みたいな髪型だった頃の印象が強い。

本作はアイク&ティナ・ターナーという夫婦デュオで活動していた頃の作品である。

あの洞窟の中で歌っているような深いエコーの〈ウォール・オブ・サウンド〉で有名なプロデューサー、フィル・スペクターがクラブで歌うティナ・ターナーに目をつけ、タイトル曲を含め、6曲をプロデュースして録音した。アイクにはティナの「指名料」にあたる金だけ渡して、レコーディングには参加させなかったという。

その6曲と、アイクのプロデュースによる6曲を合わせて全12曲でリリースしたのが本作である。★がスペクターのプロデュース作品である。

【オリジナルLP収録曲】

SIDE A

1 リヴァー・ディープ・マウンテン・ハイ★
2 恋は盲目
3 ひとりぼっちの夜★
4 ア・フール・イン・ラヴ
5 メイク・エム・ウェイト
6 ホールド・オン・ベイビー★

SIDE B

1 幸福でいっぱい★
2 ラスト・ダンスは私に★
3 オー・ベイビー
4 涙の日々★
5 サッチ・ア・フール・フォー・ユー
6 ワーク・アウト・ファイン

スペクター・プロデュースの、特にタイトル曲は「ウォール・オブ・サウンドの最高傑作」として高く評価された。

アイク・プロデュースの6曲は彼らの過去の曲の再録音だが、こちらはウォール・オブ・サウンドとは真逆の、加工のないゴリッゴリの生々しいサウンドだ。

この極端に印象のちがうサウンドが前・後半に分けるわけでもなく、ごた混ぜに並べられたアルバムであり、この違和感が意外と面白く、本作の「2つの味が楽しめる」魅力となっている。

スペクターのほうではその唯一無二の異様な音楽空間そのものに浸る快感があるが、アイクのほうは当時の超ミニワンピのティナ姐さんの豪快なダンスが眼に浮かぶようなド迫力で、彼女のパワフルな歌声がより堪能できる楽しさがある。

アルバムに先行してタイトル曲のA1がシングルでリリースされた。全米チャートでは88位と振るわなかったが、しかし全英チャートでは3位のヒットとなった。

先行シングルが不調に終わったアメリカでは本アルバムの発売は延期され、イギリスでのみ、1966年9月にリリースされた。全英アルバムチャートで27位の成績を収めた。

フィル・スペクターは「イギリスはアメリカよりも才能あふれるエキサイティングな音楽をより高く評価する」と語っている。

まあ、完全な負け惜しみではあるが、たしかにそういう部分はなきにしもあらずだ。

そして本作は3年後の1969年にようやくアメリカで発売されたが、全米102位とやはり振るわなかった。

↓ フィル・スペクターの最高傑作とも評された「リヴァー・ディープ・マウンテン・ハイ」。

↓ アイク・ターナーのプロデュースによる「ア・フール・イン・ラヴ」。

(Goro)