No.069 セックス・ピストルズ/アナーキー・イン・ザ・UK (1977)

Never Mind The Bollocks, Here's The Sex Pistols
≪オールタイム・グレイテスト・ソング 500≫ その69
SEX PISTOLS – Anarchy In The UK

もしこの1曲がなかったら、ロックの歴史はずいぶん違うものになっていただろうな、と思わせる曲はいくつかあるけれど、この曲も間違いなくそうだ。

この曲が無ければ、もしもセックス・ピストルズが登場しなければ、もしかするとロックはもっと大人向けの複雑でマニアックな音楽へと進化(?)していき、ロックを聴く人なんてジャズやクラシックのファンみたいにきわめて少数派になっていたかもしれない。
わたしもロックを聴き続けることはなかったかもしれない。

なんてことまで想像したくなるほど、パンクムーヴメントの発火点となったこの曲が与えた影響は大きい。

わたしはパンクロックというものは、産業化してでっかく膨らんだロックに、安全ピンの針をプスッと突き立ててBANG!とパンクさせた、パンク魔のようなものだと思っている。

それは音楽業界だけにとどまらず、ファッションからサブカルチャーからアートまで、いろんなものを彼らは破裂させた。
もちろん彼らのやったことは進化ではなく、一種の原点回帰だ。

おれは反キリスト おれはアナーキストだ
欲しいものは手に入れる そしてなにもかもぶち壊す
おれはアナーキストになりたいんだ
(written by Paul Cook, Steve Jones, John Lydon, Glen Matlock)

彼らが真剣だったのかふざけていたのかはよくわからない。

しかしそこには理想的にラウドなギターが鳴り渡り、ポップアートのような美しさと、マンガのようなユーモアと、そしてなにものにも勝るカッコ良さがあり、今でもパンクロックのシンボルのように輝いている。

セックス・ピストルズの音楽には、わたしがロックに求めるすべてが揃っている。

これはたった二十歳の、怖いもの知らずのクソガキたちが知ったふうな顔の大人たちをビビらせ、ひっくり返してしまった、ロック史に刻み込まれた痛快極まる事件であり、永久に輝きを失わない奇跡である。

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