No.283 シニード・オコナー/愛の哀しみ (1990)

I Do Not Want What I Haven't
≪オールタイム・グレイテスト・ソング 500≫ その283
Sinead O’Connor – Nothing Compares 2 U

この曲はプリンス直轄のファンク・バンド、≪ザ・ファミリー≫のためにプリンスが書いた曲だ。
1985年のアルバム『ザ・ファミリー』に収録されているが、シングルカットもされず、注目もされなかったし、今聴いてみてもとくに魅力を感じない。
なのにこれに目をつけたシニード・オコナーはなかなか凄いと思う。

シニード・オコナーはアイルランド出身で、1987年にデビューした。
両親の離別や、母の事故死、鑑別所に入るなどすさんだ少女時代を過ごした彼女は、デビューしてからも内に燃え上がる炎を抑えきれずに過激な言動を重ね、トラブルメーカーの印象がつきまとい、やがて表舞台から姿を消した。

さすがに生放送のTVカメラの前でローマ法王の写真を破り捨てたのはマズかった。
カトリック教会の複数の神父による児童への性的虐待とその組織的な隠蔽事件に対する抗議ということで、気持ちはまったく共感するものの、やり方は上手くなかった。本当なら人々の、カトリック教会の腐った組織へ向けるべき怒りと憎悪を、自分の方へ向けることになってしまった。

しかしそんな波乱の人生を送った彼女の、この輝きに満ちた名唱は忘れ難い。
こんなふうに情念を顕わにして、魂から溢れ出てくるような声で歌う歌手はそんなにはいない。

PVの最後のほうで、自然に頬を伝う涙もなんだか衝撃的だった。
何度聴いてもわたしは感動してしまう。

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