友川かずき/生きてるって言ってみろ(1977)

千羽鶴を口に咬えた日々

【ニッポンの名曲】#30
作詞・作曲:友川かずき

わたしが友川カズキを初めて知ったのは『3年B組金八先生』の第1シリーズで、三原じゅん子がバイトしていたライヴハウスで、彼が「トドを殺すな」という歌を演奏したシーンだった。
短いシーンだったけど、わたしと同世代の人は結構このシーンを覚えている人が多いようだ。それほど強烈な印象を残す、気のふれたような恐ろしいパフォーマンスだったのである。

「生きてるって言ってみろ」は3rdアルバム『千羽鶴を口に咬えた日々』収録の、友川カズキ(2003年からカタカナ表記に改名したらしい)の代表曲。

びっしょり濡れた手ぬぐいを
腰にゆわえてトボトボと
死人でもあるまいに
自分の家の前で立ち止まり
覚悟を決めてドアを押す
地獄でもあるまいに
生きてるって言ってみろ
生きてるって言ってみろ
生きてるって言ってみろ
(生きてるって言ってみろ/作詞・作曲:友川かずき)

そう問い詰められるともう迂闊に「生きてる」とは言えなくなるような恐るべき曲だ。

わたしは昨年、豊田市の『橋の下音楽祭2017』の、40人ぐらいしか入らない小ぢんまりとした見世物小屋みたいなところで彼のライブを観ることが出来た。

1.5mの距離でほとんど向き合うようにして観たライブは、目があうのが怖かったほどの迫力だった。あの激烈なパワーはまったく衰え知らずである。

MCでは、別の野外ステージの騒音にずっと怒り、そして世の中や政治にも怒り狂っていた。
「日本は北朝鮮よりひどい国」で、安倍政権も民主党も共産党も罵倒するアナーキストぶりだった。
「毎日ムカついてしょうがないから、あと5年は歌いたい」と言い、「みんな死ねばいい」と3回ぐらい言い、大竹しのぶが最近彼の曲をカバーしたことに触れ、やっぱり「死ねばいい」と言っていた。

彼はアーティストでよかったよなあ、とつくづく思ったものだ。