ダイナソーJr.／クール・ウィズ・ミー (1991)【’90s Rock Masterpiece】 ​

1991年は楽しかったなあ。

前年のソニック・ユースに続いて、地下世界から地上世界へとメジャー・デビューしたダイナソーJR.のアルバム『グリーン・マインド』を聴いてわたしは狂喜した。

80年代風の電子サウンドでもMTV向きのポップなロックでもない、ヘアスプレーの匂いがキツそうなグラム・メタルでもない、こんな疾走感あふれる野蛮なギター・ロックにわたしは飢えていたのだ。

ロックの黄金時代へと還ったような、まさに古代の恐竜が蘇ったかのようだった。
とはいえ、決して古さを感じない、ドクドクと脈打つほどのリアリティは同世代のわれわれと同じ時代の気分を共有し、爽快なスピード感と清々しい爆発力も備えた、まさに新時代のロックンロールだった。

この曲は、『グリーン・マインド』からわずか8ヶ月後の1991年10月にリリースされた8曲入りEPのメイントラックである。J・マスシス、絶好調の時代だな。「フリーク・シーン」や「ワゴン」と並ぶ、ダイナソーJr.らしい、疾走感溢れる名曲だ。
「ワゴン」はミキシングを失敗したのか、イマイチ貧弱な音だったけれども、この曲ではそれも改善され、理想的な最強のサウンドを聴かせてくれる。

ついに市街地に上陸して暴れ回った恐竜が、ビルを薙ぎ倒し、アスファルトに爪を立てひっぺがす勢いで爆走する破壊的ロックンロールだ。Ｊ・マスシスによる、のたうち回りながら哀しき雄叫びを上げるようなギター・ソロがまたたまらない。

（Goro）